演題

O2-83-13-1

胃粘膜における肥満と壁細胞の変化についての電子顕微鏡的検討

[演者] 山田 和彦:1
[著者] 河村 由紀:2, 横溝 悠里子:3, 田村(中野) 美和:2, 野原 京子:3, 相馬 大介:3, 山下 智:3, 猪狩 亨:4, 平田 有基:2, 土肥 多恵子:2
1:国立国際医療研究センター病院 食道外科, 2:国立国際医療研究センター 研究所 肝炎免疫研究センター, 3:国立国際医療研究センター病院 外科, 4:国立国際医療研究センター病院 病理部

【はじめに】肥満は食道腺癌,接合部癌,胃体部癌と強い関連があることが知られている.我々はマウスに高脂肪食を長期投与することにより胃の粘膜障害がおき,これが前癌状態へと発展することを見出した(Hirata Y et al, 2016).この病変を電子顕微鏡で観察すると,胃の壁細胞のミトコンドリアが形態学的な変化を起こしていた.今回我々は,腺癌(食道胃接合部癌,胃癌)手術時の胃体部の粘膜を電子顕微鏡で観察し,肥満や血清脂質値と壁細胞の電子顕微鏡的変化を観察した.
【材料と方法】食道癌及び胃癌で切除した20例を使用し,胃体部後壁の粘膜を採取し,HE 染色と電子顕微鏡の観察を行った.電子顕微鏡は2%グルタールアルデヒドに固定し,オスミウム染色の後に樹脂に包埋,薄切切片を作成,電子顕微鏡(JEM-1400)で観察を行った.
【検討項目】HE所見,電子顕微鏡所見および術前の脂質採血(TG,LDL,T Chol),HP感染及びBMIとの比較を行った.電子顕微鏡での観察にて壁細胞におけるミトコンドリアの変化が目立つものと,わずかな変化を伴う2群にわけて臨床因子と比較検討した.統計学的解析はχ2乗検定を行い,p<0.05で有意差ありとした.
【結果】HE染色では,壁細胞の減少が33%(4/12例)に認められた.電子顕微鏡での観察では壁細胞において脂肪滴の出現,ミトコンドリアの構造異常(構造の変化や玉ねぎ様構造)が多くの症例で認められた.これらの壁細胞変化はHericobactor Pyroli(HP)感染や萎縮性胃炎などとは関連のない背景でも認められた.BMI 28以上の症例で,ミトコンドリアの構造変化が目立つ症例が有意に多かった(80% vs 29%, p<0.05).一方,ミトコンドリアの構造変化の見られる頻度は,脂質採血値(TG,LDL,T Cholのいずれか)が高い症例で有意に低かった(0% vs 67%, p<0.05).HP感染や病期とは関連を認めなかった.
【結語】胃粘膜における壁細胞と肥満や脂質値との関連について電子顕微鏡的な検討を行った.BMIと壁細胞の電子顕微鏡的な変化との関連が疑われた.
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