演題

O2-82-13-6

miRNAsメチル化マーカーパネルを用いた潰瘍性大腸炎患者の癌化リスク診断

[演者] 問山 裕二:1
[著者] 奥川 喜永:1, 荒木 俊光:1, 小林 美奈子:2, 大北 喜基:1, 田中 光司:1, 井上 靖浩:1, 内田 恵一:1, 毛利 靖彦:1, 楠 正人:1,2
1:三重大学大学院 消化管・小児外科学, 2:三重大学大学院 先端的外科技術開発学

背景:腸管の慢性炎症ならびに加齢による頻回の粘膜再上皮化は,腸管上皮細胞のDNAメチル化を異常誘発する因子であり,細胞分裂が進むほどDNAメチル化エラーが蓄積し (epigenetic drift),潰瘍性大腸炎(UC)合併大腸癌(CAC)に深く関与している.このように形成されるDNAメチル化異常は癌組織に加え,非癌部にも存在することが知られ(Field defect),この現象は大腸腫瘍を合併する高危険群の絞り込みを可能にする新たな危険因子として期待される.
方法:Initial cohort:散発性大腸癌組織で高度にメチル化されている5つのmiRNAs (-1,-9,-124,-137,-34b/c) に着目し,UC非癌部粘膜(盲腸:n=62,横行結腸:n=62,直腸:n=87),Dysplasia(n=12)ならびCAC(n=13)からDNAを抽出,Bisulfite処理後パイロシークエンス法でmiRNAsのメチル化レベルを定量し,臨床病理学的因子ならびに発癌との関連を検討した.Validation cohort:CAC非合併UC患者の直腸粘膜(n=90)ならびCAC合併UC患者の直腸粘膜(n=61)からDNAを抽出,Bisulfite処理後パイロシークエンス法でmiRNAsのメチル化レベルを定量しinitial cohortの再現性を確認した.
結果:Initial cohort: UC非癌部粘膜の5つのmiRNAsメチル化レベルは遠位大腸で高く,直腸で有意に高値を示した.さらに直腸粘膜の5つのメチル化レベルは診断時年齢,手術時年齢,病脳期間と有意に相関した.Dysplasia,CACのこれらのmiRNAsメチル化レベルは非癌部粘膜に比し有意に高値であった.さらにCAC合併UC患者の直腸粘膜の5つのメチル化レベルは,非合併UC患者の直腸粘膜に比べ有意に高値で,5つのmicroRNAメチル化パネルはCACを合併するUC患者を高率に同定できた(AUC: 0.852).Validation cohort:CAC合併UC患者の直腸粘膜の5つのメチル化レベルは,非合併UC患者の直腸粘膜に比べ有意に高値で,5つのmicroRNAメチル化パネルはUC患者を高率に同定でき,(AUC: 0.783) initial cohortの再現性が確認された.
結語:癌抑制遺伝子のメチル化は時に粘膜年齢依存的"Epigenetic drift"であり,"Field effect"の特徴を併せ持つことが知られている.Epigenetic drift ならびにField effectの特性を持つDNAメチル化マーカーパネル用いた直腸生検は,CAC合併UC患者の絞り込みに有用な検査方法として期待される.
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