演題

O2-82-13-5

大腸癌における細菌Fusobacterium nucleatumと腫瘍発生部位,分子異常との関係

[演者] 美馬 浩介:1
[著者] Reiko Nishihara:2, Zhi Rong Qian:2, Shuji Ogino:2, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学附属病院 消化器外科, 2:Dana-Farber Cancer Institute and Harvard Medical School

【背景】最新の研究で,口腔内に存在するグラム陰性嫌気性桿菌であるFusobacterium nucleatumが大腸癌において抗腫瘍免疫応答を抑制し,癌の発育を促進することが明らかになっている.また大腸癌の主な分子異常であるmicrosatellite instability (MSI), CpG island methylator phenotype (CIMP), BRAF遺伝子変異の頻度が直腸から右側結腸にかけて徐々に上昇することが示されている.
【目的】ヒト大腸癌組織におけるFusobacterium nucleatumの存在量と腫瘍発生部位および分子異常との関係を明らかにする.
【方法】1.米国における2つの大規模前向きコホート研究Nurses' Health StudyとHealth Professionals Follow-up Studyにおいて発生した1,000例以上の大腸癌ホルマリン固定パラフィン包埋組織からDNAを抽出し,quantitative polymerase chain reaction (PCR)法で癌部におけるFusobacterium nucleatumの存在量を評価した.2. Fusobacterium nucleatumの存在量と腫瘍発生部位,MSI,CIMP,遺伝子変異 (BRAFKRASPIK3CA),LINE-1のメチル化レベルとの関連を解析した.
【結果】1. 1,102例のヒト大腸癌組織中,138例(13%)でFusobacterium nucleatumがquantitative PCRにより検出された.大腸癌組織中にFusobacterium nucleatumが多い症例の頻度は,直腸(2.5%; 4/157例)から盲腸(11%; 19/178例)にかけて徐々に増加した.3. 多変量解析において,大腸癌組織中にFusobacterium nucleatumが多い症例は,CIMPやBRAF遺伝子変異ではなく,MSIと有意に関連した(multivariable odds ratio, 5.22; 95% confidence interval, 2.86 to 9.55).
【結語】Fusobacterium nucleatumが右側結腸における大腸癌の発生に関与する可能性が示唆された.
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