演題

大腸癌周術期における大建中湯の臨床的効果

[演者] 藤田 文彦:1
[著者] 虎島 泰洋:1, 井上 悠介:1, 山口 泉:1, 小林 慎一朗:1, 山之内 孝彰:1, 小林 和真:1, 金高 賢悟:1, 高槻 光寿:1, 江口 晋:1
1:長崎大学大学院 移植・消化器外科学

【背景】近年,腹部手術に対する一般的な周術期管理として,術後の早期から水分や食事を摂取することが推奨されるようになった.しかし,術後早期には胃腸機能が低下しており,クリニカルパス従った術後管理ができない症例も多く経験する.この問題を解決し,さらに胃腸機能の回復を早めることで,術後の体重減少や栄養障害を最小限に抑えることが期待できる.【目的】大腸癌手術後に認められる腸管運動機能低下に伴う腹部症状(腹痛,腹部膨満感等)や体重,栄養状態に対するツムラ大建中湯エキス顆粒(TJ-100)の効果について探索的に検討する.【対象と方法】大腸癌の治癒切除が可能と判断された腹腔鏡下手術施行症例20例を対象とした.TJ-100投与群(10例)と非投与群(10例)をランダム化して比較検討した.投与群では,TJ-100を手術当日,翌日を除いた手術2日前から手術後12週間まで投与した.評価項目は,体重増加量,GSRSスコア,血液生化学的因子(血清アルブミン,血清総蛋白,プレアルブミン,レチノール結合蛋白,総コレステロール,CRP)とし経時的に計測を行った.安全性を観察する目的として,肝機能検査を含めた薬剤有害事象を評価した.【結果】投与群のうち途中投与中止を希望した1例を除外し,投与群 9 例,投与群 10 例に対して比較検討した.全例を通じて明かな有害事象は認めなかった.体重増加量の比較では,術後2週後,4週後,12週後においてTJ-100投与群が有意に高値を示した.GSRS スコアでは,全体的に投与群において低く安定した傾向にあったが統計学的な有意差は認めなかった.血液生化学的因子の検討では,術後3日目の血清総蛋白値において投与群が有意に低かったが,その他の項目はいずれも両群間に差を認めなかった.【結語】大建中湯は大腸癌手術の周術期に安全に投与可能であり,術後早期の体重減少を防ぐ可能性が示唆された.
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