演題

O2-82-13-1

Stage II結腸癌に対する術後補助化学療法の第III相試験(SACURA trial)におけるMSIと予後の検討

[演者] 石川 敏昭:1
[著者] 植竹 宏之:1, 石黒 めぐみ:2, 室谷 健太:3, 上野 秀樹:4, 松井 茂之:5, 中谷 英仁:6, 手良向 聡:7, 冨田 尚裕:8, 杉原 健一:9
1:東京医科歯科大学大学院 総合外科学分野, 2:東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学講座, 3:愛知医科大学病院 臨床研究支援センター, 4:防衛医科大学校 外科学, 5:名古屋大学大学院 生物統計学分野, 6:先端医療振興財団 臨床研究情報センター, 7:京都府立医科大学大学院 生物統計学, 8:兵庫医科大学 下部消化管外科, 9:東京医科歯科大学

【目的】SACURA trialは,手術単独群と術後1年間のUFT補助化学療法を行う群(UFT群)とを比較し,UFT群の優越性を検証したランダム化比較試験だが,UFT群における有意なDFS改善は示されなかった.附随研究として,ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本を用いた腫瘍内5-FU関連酵素の発現量やMicrosatellite instability (MSI),18qLOH(Loss of heterozygosity)などの分子生物学的な因子の解析やbudding等の病理組織学的因子の解析を行い,治療の指標となる予後予測因子や効果予測因子の確立を目指している.
【目的】Stage II結腸癌におけるMSIと予後の関連を明らかにする.
【方法】主研究に登録した2024例中,附随研究のMSI解析対象集団となった1026例(手術単独群:509例,UFT群:5157例)に対して,5マーカー(BAT25,BAT26,D2S123,D5S346,D17S250)でMSI解析を行い,マーカー陽性率>20%の症例をMSI-H(MSI high)と判定し,全マーカーが陰性の症例はMSS(microsatellite stable)と判定した.
【結果】MSI-Hは11026例中74例(7.2%)に認め,MSI-Lは24例(2.3%),MSSは928例(90.5%)だった.MSI-Hは性別(女性),部位(右側結腸),腫瘍径(>5cm),組織型(por,muc,sig), 術前CEA値(<5.0)と有意に相関した.再発率はMSI群で4.1% (3/74),MSI-L/MSS群で13.4%(128/952)でありMSI群で有意に低かった(p=0.0197).
手術単独群とUFT群を合わせた無再発生存期間(RFS)解析では,MSI群の5年RFSは92.9%でMSI-L/MSS群(84.1%)に比較して有意に良好だった(HR 0.40(95%CI:0.17-0.98),p=0.05).多変量Cox回帰分析による解析においてMSIは術前CEAや壁深達度,リンパ節郭清度とともに独立した予後因子だった(HR 0.37(95%CI 0.14-0.99, p=0.0488).治療群別にRFSを検討した場合,手術単独群とUFT群のいずれにおいてもMSI群の予後はMSI-L/MSS群に比較して良好だった(手術単独群の5年RFS:MSI 94.3% vs MSI-L/MSS 83.1%,UFT群の5年RFS:MSI 91.7% vs MSI-L/MSS 85.1%).
【結語】我が国のStage II結腸癌におけるMSI-Hの頻度は7.2%と欧米の報告に比べ低かった.MSIはStage II結腸癌の独立した予後因子であり,MSI-H結腸癌の予後はMSI-L/MSS結腸癌に比し有意に良好だった.MSI-H結腸癌の治療成績は優れており補助療法を考慮する必要がない可能性がある.Stage II結腸癌治療の個別化には他の分子マーカーおよび病理学的マーカーの解析を進め,組み合わせて検討していくことが重要と考える.
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