演題

O2-81-13-6

個別化治療を目指したStageII/III胃癌根治切除後の再発リスク層別化マーカーの検索

[演者] 大島 貴:1
[著者] 木村 弥生:2, 宮城 洋平:3, 坂巻 顕太郎:4, 塩澤 学:5, 吉川 貴己:5, 利野 靖:1, 安井 弥:6, 今田 敏夫:7, 益田 宗孝:1
1:横浜市立大学医学部 外科治療学, 2:横浜市立大学 先端医科学センター, 3:神奈川県立がんセンター 臨床研究所, 4:横浜市立大学医学部 臨床統計学, 5:神奈川県立がんセンター 消化器外科, 6:広島大学大学院 分子病理学, 7:済生会横浜市南部病院

【目的】Stage II/III胃癌の標準治療は根治切除後の補助化学療法であるが,biomarkerを用いた個別化治療によりさらなる治療成績の改善が期待される.そこで,われわれは胃癌の臨床検体を用い,遺伝子および蛋白レベルでStage II/III胃癌根治切除後の再発リスク層別化マーカー検索を行った.

【方法】術後5年以上経過したStage II/III胃癌255症例のうち,コホートの異なる145例をtraining set,110例をvalidation setとし,定量PCR法にて127遺伝子の発現を解析し,再現性を有する予後不良因子を同定した.次に,背景因子を揃えた StageIII胃癌における5年以上無再発症例12例と3年未満の再発死亡症例12例を対象とし,各胃癌組織から蛋白質を抽出して質量分析による探索的プロテオーム解析にて再発リスク因子を同定した.以上の2つの異なる方法で同定したbiomarker候補について,上記とコホートの異なるStage II/III胃癌根治切除499症例を対象とし,Tissue microarrayを用いて,臨床的汎用性の高い免疫染色でその発現を検討し,再発リスクを層別化しうるマーカーの組み合わせを検索した.

【結果】定量PCR法では,SPARC, ERBB2, CXCR4, INHBA, VSNL1, MMP11, CCR7, MRP1, CEACAM7, TP53, EZH2, PDGFRB, VCAM1がマーカー候補として同定された.質量分析による探索的プロテオーム解析ではSPARC, CLC, PRG2, PRG3がマーカーの候補として同定された.これらの16種類のマーカー候補についてTissue microarrayを用いた免疫染色にてその発現を検討すると,SPARC, EZH2, ERBB2, p53の組み合わせで再発リスクの層別化(5年生存率,68% vs. 33%; P=0.0111)が可能であった.

【結論】胃癌の臨床検体を用い,遺伝子および蛋白レベルでStage II/III胃癌根治切除後の再発リスクを層別化しうるマーカーの組み合わせを同定した.現在,さらに750症例のTissue microarrayを用いた免疫染色で検証をしており,臨床応用を目指している.
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