演題

O2-81-13-5

胃癌患者の術前末梢血,骨髄血中の免疫チェックポイント遺伝子発現を用いたバイオマーカー探索

[演者] 伊藤 修平:1
[著者] 増田 隆明:1, 吉川 幸宏:1, 胡 慶江:1, 木戸上 真也:1, 南原 翔:1, 林 直樹:1, 黒田 陽介:1, 江口 英利:1, 三森 功士:1
1:九州大学病院別府病院 外科

【背景】近年,消化器癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験における良好な結果が報告されている.一方,免疫チェックポイント阻害薬は高額であり,治療効果予測,予後予測バイオマーカーの同定が喫緊の課題であるが,いまだ明らかではない.【目的】胃癌患者において,循環血液中(末梢血,骨髄血)のPD-L1, PD-1, CD8の発現量がバイオマーカーになり得るかを検討する.【対象】胃癌切除例246例,健常人23例.【方法】術前末梢血,骨髄血中のPD-L1PD-1CD8遺伝子のmRNA発現を定量RT-PCR法にて測定した.また,胃癌患者(n=5),健常人(n=7)の末梢血単核球細胞(PBMC)を用い,フローサイトメトリー解析にて発現の局在を検討した.【結果】(1) 背景因子:平均年齢 62.1±12.8歳(24歳-87歳),男性/女性 158/88例.(2) 健常人との比較(末梢血):胃癌患者ではPD-L1PD-1CD8発現がそれぞれ2.8,4.0,3.1倍と有意に高値であった(PD-L1: P<0.05,PD-1: P<0.001,CD8: P<0.001).(3) 臨床病理学的因子: (末梢血) PD-L1高発現群は,壁深達度が高度で(P<0.05),stageが進行していた(P<0.05).CD8低発現群は,腹膜播種を多く認めた(P<0.05) .(骨髄血)PD-1低発現群は,壁深達度が高度で(P<0.05),stageが進行していた(P<0.01).(4) 予後: (末梢血) PD-1CD8低発現群は,それぞれ高発現群と比較し,有意に予後不良であり(PD-1: P<0.01,CD8: P<0.05),PD-1高/低発現による予後の差は,stageが進行するほど大きかった.(骨髄血)PD-L1, PD-1, CD8発現と予後に有意な相関を認めなかった.(5) 多変量解析: (末梢血) 腫瘍径,深達度,腹膜播種,PD-1低発現が,全生存率の独立予後不良因子であった(PD-1低発現: HR 2.67, 95%CI 1.10-7.15, P<0.05).(骨髄血) PD-L1, PD-1, CD8発現は有意な独立予後因子ではなかった.(5) PD-1の局在: PD-1陽性細胞におけるCD3陽性細胞の割合は,胃癌患者: 98.9±0.8%,健常人: 96.3±7.6%であり,PD-1はTリンパ球に多く発現していた.以上より,PD-1は末梢血液中においてTリンパ球に発現しており,術前末梢血中のPD-1低発現は独立予後不良因子であった.【結語】胃癌患者において,術前末梢血中のPD-1発現は予後予測マーカーとなることが示唆された.
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