演題

O2-81-13-4

食道扁平上皮癌患者における血中の癌抑制型microRNAの発現解析と抗がん核酸治療への応用

[演者] 木内 純:1
[著者] 小松 周平:1, 市川 大輔:1, 今村 泰輔:1, 小菅 敏幸:1, 小西 博貴:1, 塩﨑 敦:1, 藤原 斉:1, 岡本 和真:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学医学部 消化器外科学

【目的】食道扁平上皮癌(ESCC)患者血漿中の分泌型の癌抑制microRNA (miR)の発現を解析し,Liquid Biopsyとしての新規のバイオマーカー,さらには抗がん核酸治療への応用の可能性を持つ候補の探索を行った.【対象】ESCC患者87例の治療前血漿,健常人52例の血漿,ESCC細胞株を用いて解析した.【方法と結果】1) NCBI databaseから「esophageal squamous cell carcinoma」「tumor suppressive microRNA」をkey wordとして検索した.全既報論文85報58miR候補群のうち,高頻度に報告を認め,かつ血中バイオマーカー候補として未報告のmiR候補を6種類選出した.2)TaqMan assayによるtest-scale解析,validation解析(ESCC患者87例,健常人52例)により,健常人血漿に比しESCC患者で血漿濃度が低く,有意な差を認めたmiR-655を同定した(p < 0.0001, AUC = 0.705).3) ESCC患者において,miR-655低濃度は高N因子(p = 0.0171),リンパ管浸潤陽性(p = 0.0057),組織学的進行度(p = 0.0264)と有意な相関を認め,miR-655低濃度はESCCの独立した予後不良因子となった(p = 0.0105, HR = 2.94).4) ESCC細胞株を用いてmimic-miRNAによりmiR-655を過剰発現させたところ,コントロール群と比較して細胞増殖抑制,遊走,浸潤能抑制が認められた.5) ESCC細胞株を移植したSCIDマウスに,アテロコラーゲンを用いてmiR-655 を腫瘍周囲に皮下投与したところ,皮下組織間液を介した有意な腫瘍抑制効果が認められた.6)ESCC細胞株を用いてリンパ節転移モデルマウスを作成し,miR-655投与によるリンパ節転移抑制効果,miR-655を用いたリンパ節転移診断技術について現在解析中である.【総括】血漿中miR-655は,ESCC患者の新規のバイオマーカーとして極めて有望である.また,ESCC患者血漿中で高度に低下している癌抑制型miR-655を導入することで次世代型の抗がん核酸治療への応用も期待できる.臨床応用に向けて分子機序の詳細な解析を進めている.
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