演題

O2-81-13-2

食道胃接合部腺癌は腫瘍占居部位によりheterogeneousなgenetic statusを呈する

[演者] 今村 裕:1,2
[著者] 比企 直樹:1, 沖 英次:3, 山本 学:4, 森田 勝:4, 前原 喜彦:3, 馬場 秀夫:2, 佐野 武:1, 渡邊 雅之:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科, 2:熊本大学附属病院 消化器外科, 3:九州大学病院 第2外科, 4:九州がんセンター 消化管外科

【背景】近年の次世代シーケンサー解析により,多くの癌種において臨床的に有用なgenetic statusによる分類がなされつつある.食道胃接合部(EGJ)腺癌は,その局在から食道腺癌または胃腺癌の一部として解析され,EGJ腺癌単独の大規模な検討はない.また,我々は食道側に首座をおくSiewert type Iが予後不良であることを報告してきた.
【目的】MSI解析やLINE-1(L1)解析により,EGJ腺癌のgenetic statusの特徴を明らかにする.
【方法】2000-2014年の期間に国内4施設において外科切除術が施行されたEGJ腺癌488例(Siewert type I-III)のうち,術前加療歴のない320症例について,消化器発癌上重要なMSI statusとゲノムワイドなメチル化の指標であるL1メチル化レベルを検討した.MSIは6マーカー(BAT25, BAT26, BAT40, D2S123, D5S346, D17S250)を用い,MSI-high(2つ以上陽性),MSI-low,(1つのみ陽性), MSS(全て陰性)に分類した.L1メチル化レベルは四分位点を用い低いものから順にQ1, 2, 3, 4に分類した.
【結果】➀ MSI-high/MSI-low/MSSはそれぞれ32例(10%),46例(14.3%),242例(75.6%)であった.ランダム抽出された82例において,MSI-highの63%にMLH1 promoterのhypermethylationを認めた.MSSと比して,MSI-highは高齢に多く(P=0.011),リンパ節転移個数が低かった(P=0.0011).3年relapse-free survival(RFS)は,MSS(68.4%)と比して,MSI-high(75.7%)は比較的良好であった.MSI-highの頻度はSiewert type I-IIIの順に0%,8.7%,15.3%であった.②L1メチル化レベル(mean±SD)は65.1±9.8であり,最も低メチル化を示すQ1群には低分化型腺癌 (P=00007)を,最も高メチル化を示すQ4群にはMHI-highを高率に認めた.また,バレット食道を伴うものは有意に低メチル化を示した(P=0.034).3年RFSは,L1-Q1-4の順に,57.8%, 67.0%, 80.1%, 83.5%と低メチル化群で予後不良であった(P=0.01).さらに,Siewert type I-IIIの順に64.6±7.2,64.3±10,68.7±7.8であり,食道側の腫瘍で有意に低メチル化を示した(P<0.001).
【まとめ】EGJ腺癌は,腫瘍占居部位によりheterogeneousなgenetic statusを呈し,特に食道側の腫瘍ではMSI-highの頻度が少なく,L1メチル化レベルが低い.これらの特徴は,バレット食道を背景とするSiewert type IがEGJ腺癌の中で最も悪性度の高いphenotypeを示す一因であると考えられた.
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