演題

大建中湯は胆道閉鎖症ラットモデルにおけるバクテリアルトランスロケーションと肝線維化を抑制する

[演者] 矢田 圭吾:1
[著者] 森 大樹:1, 石橋 広樹:1, 森根 裕二:2, 島田 光生:2
1:徳島大学病院 小児外科・小児内視鏡外科, 2:徳島大学病院 消化器・移植外科

【背景】胆道閉鎖症は,乳児の閉塞性黄疸・肝線維化を来す重要な疾患の一つである.近年,bacterial translocation(BT)が肝星細胞 (hepatic stellate cell: HSC) におけるTLR4,TGFβシグナルを介して肝線維化に寄与することが報告された.一方で,大建中湯 (TU-100)は近年,抗炎症作用などが注目され,我々も絶食ラットおよび抗癌剤CPT-11 投与ラットにおけるBTや小腸粘膜障害に対するTU-100の予防効果について報告してきた.今回,総胆管結紮 (BDL) ラットモデルにおけるBTをTU-100が抑制し,結果としてTLR4-TGFβシグナル・肝線維化抑制に寄与するのではないかと考え,以下の検討を行った.
【方法】In vivoでの検討: 6週齢Wistar系雄性ラットを用い,Control群・BDL群・BDL+TU-100群の3群に分けた (各n=8).BDL群・BDL+TU-100群においては,BDL後3・7・14日目に犠死させた.
In vitroでの検討: BDL術後7日目に肝臓を採取し,two step collagenase法および層遠心分離法を用いてHSCを単離した.HSCは3時間の前培養の後に,各種濃度のTU-100および構成生薬 (人参・山椒・乾姜) を投与し,αSMAColIα1TIMP1のmRNA発現を評価した.また,αSMAに関してはwestern blotによる蛋白発現についても評価した.
【結果】
〈In vivoでの検討〉
1. BDL+TU-100群において,3・7・14日目のGOT値およびGPT値がBDL群と比較し低値であり,肝組織中のTNFαのmRNA発現は3・7・14日目ともにBDL+TU-100群においてBDL群と比較して抑制された.
2. BDL+TU-100群において,7・14日目のBT発生率および,3・7・14日目の小腸絨毛数・高さがBDL群と比較して抑制・保持された.
3. BDL+TU-100群において,肝臓の線維化およびαSMA/TGFβ/TLR4発現は,特に術後14日目においてBDL群と比較して抑制された.
〈In vitroでの検討〉
1. TU-100投与群では,αSMAColIα1TIMP1のmRNA発現が抑制された.
2. 3つの生薬投与による検討では,山椒・乾姜はαSMAColIα1TIMP1のmRNA発現を抑制した一方,人参はαSMAColIα1のmRNA発現を抑制した.
3. Western blotでは,TU-100および3つの生薬はすべてでαSMAの発現抑制効果を示した.
【結語】TU-100は胆道閉鎖症ラットにおいて,BTならびにHSCを抑制し肝障害・肝線維化を軽減させる可能性が示唆された.TU-100は胆道閉鎖症患児における肝線維化を抑制し,予後改善に寄与する可能性がある.
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