演題

O3-153-14-5

シェブロンプリーツ法: 大きなシート状外科材料を折りたたんで5mmポートから挿入し腹腔内で展開する新技術

[演者] 中瀬 有遠:1
[著者] 中村 慶:1, 寒川 玲:1, 長田 寛之:1, 望月 聡:1, 北井 祥三:1, 稲葉 征四郎:1
1:市立奈良病院 外科

【はじめに】近年,5mmポートを多用した腹腔鏡手術が増加しているが,鉗子で把持してポートから入れる従来法で外科材料(止血材,癒着防止フィルム,メッシュ)を投入しようとすると,挿入自体が不可能であったり,挿入できる材料が少量であったり,あるいは腹腔内での展開が困難であったりすることが課題であった.そのため大きなシート状の材料でも簡単に挿入し腹腔内で容易に展開する新技術:Chevron pleats procedure(CPP)を開発した.【CPP】シート状素材をコンパクトに折りたたむ方法として「ミウラ折り」というOrigami技術が知られているが,ポートから挿入するには適していない.そこで,この折り方を構成している要素の一部であるV字が連続するギザギザ形状を「Chevron pattern」と呼ばれるプリーツ加工のデザインをもとに,細長くコンパクトに収納でき腹腔内で展開しやすい折り方になるよう改良した.シート状止血材や癒着防止フィルム,メッシュをChevron patternに折り,5mmポートから挿入するための新開発の細長いシリンジ状デバイスを使って実際の手術に使用した.【結果】2015年10月から2016年11月までの腹腔鏡手術の一部(胃癌15例,直腸癌22例,肝腫瘍3例,胆石症20例,鼠径ヘルニア38例)で5mmポートから使用した.止血材は従来法ではポート部分に詰まったり鉗子に付着したりして有効な使用ができない場合が多かったが,CPPでは全ての症例で円滑に挿入でき円滑な止血操作に有用であった.また癒着防止材についても従来法では鉗子に付着して展開が困難な場合があったが,CPPでは挿入後も鉗子で広げることが可能で,連続的に挿入できることから低位前方切除や直腸切断術後などの広範囲の腹膜欠損部も容易に覆うことができた.鼠径ヘルニア手術(TAPP)では,細長いシリンジ状デバイスに収納されたメッシュを腹膜前腔に直接挿入でき,また展開も容易な形状なので,メッシュ感染のリスクの軽減と展開および固定にかかる時間の短縮(CPP:261.5±50.1秒,従来法:416.6±173.0秒 )につながった.【考察】CPPは腹腔鏡手術におけるシート状止血材や癒着防止フィルムの挿入・貼付法の一つとして,また,TAPPのメッシュ挿入時に感染リスクが少なく,かつ展開しやすい挿入法として有効な手段であり,執刀医のストレス軽減や手術の安全性向上に大きく貢献する可能性を持った消化器外科領域の手術に広く役立つ新技術である可能性が示唆された.
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