演題

O3-153-14-3

末梢血循環 DNAに着目した絞扼性腸閉塞の新しい診断法

[演者] 岩井 拓磨:1
[著者] 山田 岳史:1, 小泉 岐博:1, 進士 誠一:1, 横山 康行:1, 高橋 吾郎:1, 堀田 正啓:1, 武田 幸樹:1, 原 敬介:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学大学院 消化器外科学

【背景】絞扼性腸閉塞は緊急度・重症度ともに極めて高い疾患である.診断には造影CTが有用であるとする報告もあるが,必ずしも容易ではなく,熟練した外科医であってもしばしば難渋する(Saverio, et al. 2013).したがって心筋梗塞におけるTrop-Tのような,シンプルかつ精度の高い補助診断法が開発されればその臨床的意義は大きい.我々はこれまでCirculating cell-free DNA(ccfDNA)を用いた癌のバイオマーカー開発に取り組んできたが,細胞が急速に死滅すると末梢血中に1,000bp-10,000bpの長いfragment(long ccfDNA)が増加することを見いだした.絞扼性腸閉塞では血流障害により腸管細胞がnecrosisをおこすため,long ccfDNAが血中に放出されるはずである.本研究では,末梢血中のlong ccfDNAを測定することで絞扼性腸閉塞の診断が可能か検討した.
【方法】2014年10月~2016年10月に腸閉塞の診断にて当科で緊急手術を施行した症例を対象とした.診断時に末梢血を採取.Long ccfDNAは血清1mlからQIAamp circulating nucleic acid kit (Qiagen)によりccfDNAを抽出し,バイオアナライザAgilent 2100 (Agilent Technologies)を用いて定量した.機械学習を用いて,患者因子ならびにlong ccfDNA値の評価・解析を行った.
【結果】20例が対象となり,術中所見で絞扼を認めた症例は14例,癒着性の症例は6例であった.絞扼のあった14例中全例においてlong ccfDNAを認め,一方で癒着性の6例でlong ccfDNAが認められたのは1例のみであった(P=0.0031).機械学習での解析の結果,long ccfDNA値は腎不全の有無や発症からの経過時間にも左右されないことが示された.
【結語】末梢血long ccfDNA値は絞扼性腸閉塞の診断に有用である.同手法は短時間で施行可能であり,また客観的な数値として算出されるため,臨床への応用が期待できる.
詳細検索