演題

O3-152-14-6

腹腔鏡下側方リンパ節郭清に役立つ術前シミュレーション

[演者] 堀江 久永:1
[著者] 鯉沼 広治:1, 伊藤 誉:1, 直井 大志:1, 井上 賢之:1, Alan Lefor:1, 佐久間 康成:1, 細谷 好則:1, 北山 丈二:1, 佐田 尚宏:1
1:自治医科大学医学部 消化器外科学

【目的】当科では下部進行直腸癌に対しては術前に化学放射線療法(CRT)を施行し,予防的側方リンパ節郭清は施行していないが,画像診断にて側方リンパ節腫大症例には腫大側の側方郭清を施行している.腹腔鏡下側方リンパ節郭清は腸骨動静脈の分岐が複雑であり,視野展開や鉗子操作にも制限があるため難易度が高い.そこで当科では2014年よりMDCTで作成した3D画像(VSA:Virtual Surgical Anatomy)を用いて術前シミュレーションを開始したのでその有用性を,手術成績を解析することにより後方視的に検討した.
【方法】①大腸内視鏡検査後患者は直ちにCT室に移動し,放射線科医が自動炭酸ガス送気装置で経肛門的に大腸を拡張させMDCT撮影を行う.②放射線科技師がワークステーションを用いてVSA画像を作成する.③VSA画像:直腸,尿管,内外腸骨動静脈の分岐,膀胱および腫大リンパ節を描出.④術前に外科手術チームでVSA画像にてリンパ節郭清のシミュレーションを行う.⑤術中も必要に応じVSA画像を参照する.
【成績】2014年1月から2016年12 月までに8例の下部直腸癌症例(男性6例,女性2例)に腹腔鏡下手術(LAR 6, APR 2)+片側側方リンパ節郭清(左5,右3)を施行した.臍動脈,上膀胱動脈,閉鎖動静脈,内陰部動静脈,下膀胱静脈は全例で同定可能で分岐形態は通常通りであった.一方,下膀胱動脈は閉鎖動脈から分岐していた症例が1例,2本認められた症例が2例,閉鎖動脈より頭側で内腸骨動脈から分岐していた症例が1例,動脈硬化による閉塞のため描出されなかった症例が1例認められた.手術時間中央値408分(305-480),術中出血量0ml(0-160),側方郭清時間108分(80-142)であった.5例目以降の側方郭清時間は80分台で安定した.術中臓器損傷による開腹移行や輸血は認められなかった.術後合併症は排尿障害(内服薬で改善)1例,カバーリングストマ作成例にイレウス(絶食で改善)を1例,リンパ漏を1例経験した.
【考察】これまで術中術後の重篤な合併症はなく,腹腔鏡下側方リンパ節郭清は安全に導入できたと考えられた.VSA画像による術前シミュレーションは,腹腔鏡下側方リンパ節郭清の導入に有用と考えられた.
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