演題

O3-151-14-6

肝胆膵手術における人工膵臓血糖管理の有用性に関する検討

[演者] 池本 哲也:1
[著者] 島田 光生:1, 森根 裕二:1, 居村 暁:1, 岩橋 衆一:1, 齋藤 裕:1, 吉川 雅登:1
1:徳島大学病院 消化器・移植外科

【目的】近年外科手術後の糖毒性について注目が集まっており,術直後の厳格な血糖コントロールは高サイトカイン血症発症を抑制し合併症を低下させると報告されている.我々は,血糖異常が背景に存在することの多い肝胆膵外科手術に際し人工膵臓(STG-22)を装着し厳密な血糖コントロールを行っているが,その詳細な臨床的意義は未だ不明である.そこで,肝胆膵外科手術時に人工膵臓が術後短期成績に与える影響に焦点を当て検討を行った.
【対象・方法】当科で行われた肝胆膵外科手術患者のうち,耐糖能異常のある60例.肝切除および膵切除に分け,通常群(スライディングスケールでコントロール),人工膵臓群(手術開始からICU退室まで人工膵臓STG-22によりコントロール)との間で血糖変動,臨床病理学的因子の比較検討をretrospectiveに行った.
【結果】肝切除・膵切除共に,年齢・性別,手術術式,手術時間,出血等の手術因子に差はなかったが,手術因子に差はなかったが,人工膵臓群は全例ICU退室まで血糖値が80-180mg/dlにタイトにコントロールされており,低血糖は1例も認めなかった.人工膵臓群はその接続が終了し通常のスライディングスケールに切り替わった48時間後の血糖変動幅も狭かった(P<0.05).CRPの正常復帰が人工膵臓群でより迅速であり(P<0.05),合併症率は人工膵臓群で減少し(浅部SSI:P<0.001,呼吸不全:P<0.05),術後在院日数は人工膵臓群で短縮していた(膵切除:57.8日vs 29.0日,肝切除:23.9日 vs 17.4日,いずれもP<0.05).
【結語】術後の人工膵臓接続の期間は短くとも,術直後の血糖タイトコントロールは術後合併症・在院日数を減じていた.サイトカイン変動・補助療法等の検討を要するが,肝胆膵外科手術時の人工膵臓使用は予後自体に寄与する可能性がある.
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