演題

O3-151-14-1

5-アミノレブリン酸を用いた肝細胞癌固有の光線力学診断

[演者] 井上 善博:1
[著者] 藤井 研介:1, 川口 直:1, 清水 徹之介:1, 朝隈 光弘:1, 廣川 文鋭:1, 林 道廣:1, 内山 和久:1
1:大阪医科大学附属病院 消化器外科

【背景】悪性腫瘍は1981年以来,日本人の死因第一位の疾患であり,その克服が最も急がれている病気の一つである.そのひとつである,肝細胞癌は肝切除術による悪性腫瘍の完全摘出が最も良好な予後を期待できる治療法の一つである.しかし,治療抵抗性の悪性疾患であり,肝切除術後においても高頻度に残肝再発を認め,再発の90%以上が肝内再発である.そのため外科切除時に腫瘍細胞が遺残しないよう,より腫瘍選択性の高い診断法の確立が期待される.
そこで今回,以前より取り組んでいる5-アミノレブリン酸(以下,5-ALA) を用いた光線力学診断の有用性について検討する.
【対象と方法】大阪医科大学附属病院,一般・消化器外科教室において2016年12月までに施行した肝切除症例のうち,書面による同意を得て5-ALAを用いた光線力学診断を行った184症例を対象とした.手術当日早朝,5-アミノレブリン酸 1gを50%グルコース溶液に溶解し,内服する.術中に,405nmを中心とした青色光源を開腹もしくは腹腔鏡下に照射し光線力学診断を行う.5-ALAはプロトポルフィリンIXに代謝され,腫瘍細胞内に蓄積するプロトポルフィリンIXが腫瘍固有蛍光を呈することを利用する.腫瘍同定,リンパ節転移や腹膜播種の検索を行う.また,肝切離面における腫瘍の遺残,胆汁漏の有無,切離断端を検討する.
【結果】蛍光観察では,肝細胞癌では漿膜面へ露出した腫瘍全例に発色が見られ,腹膜播腫やリンパ節転移においても赤色蛍光を呈することにより容易に指摘しえた.肝切離面では腫瘍の遺残や術中胆汁漏の有無を確認でき,従来の胆道leak testに比べ良好な結果であった(8.1% vs. 0.9%).すべての症例で明らかな有害事象は認められなかった.
【結語】5-ALAを用いた光線力学診断の臨床応用はいずれも簡便に施行でき,既存の技術と併用することで肝胆道手術の術中ナビゲーション,正確性向上に寄与すると考えられる.
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