演題

O2-92-14-5

ICG蛍光法による肝悪性腫瘍の同定:2つの機器による同定能の差異と至摘ICG投与量の検討

[演者] 小林 光助:1
[著者] 河口 義邦:1, 小林 祐太:1, 赤松 延久:1, 有田 淳一:1, 金子 順一:1, 阪本 良弘:1, 長谷川 潔:1, 國土 典宏:1
1:東京大学附属病院 肝・胆・膵外科

【背景】Indocyanine green(ICG)を術前に投与し,術中に近赤外観察カメラを用いて観察することで肝悪性腫瘍の同定に応用されている.また近赤外観察カメラも複数の製品が発売されている.本報告の目的は,肝悪性腫瘍同定におけるICGの至適投与量と機器による差異を評価することである.
【方法】
2016年3月から2016年11月に肝悪性腫瘍に対し,開腹肝切除を施行された39人の患者を対象とした.蛍光による腫瘍の同定能を2種類の蛍光カメラ(PDE-NEOもしくはPINPOINT),ICG投与量(術前日に1.25mgもしくは2.5mg)で比較を行った.
【結果】
39人のうち,肝細胞癌23例,転移性肝癌9例,その他7例であった.対象となる総腫瘍数は104(肝細胞癌:34,転移性肝癌40,その他30)であった.1.25mg投与による観察は71腫瘍,2.5mg投与による観察は33腫瘍であった.肝表から10mm以深の術前既知の腫瘍(n=12)はすべて蛍光として同定できなかった.一方,10mm以内の腫瘍は80.4%(n=72/92)が蛍光として同定された.以下,10mm以内の腫瘍で1.25mg投与(n=60),2.5mg(n=32)投与のそれぞれにおいて,2種類の機器で①既知腫瘍の同定率,②new lesion率(術前同定のなかった蛍光領域)③positive new lesion率(術前同定なかった蛍光領域かつ,悪性診断)を評価した.PDE-NEO vs. PINPOINTの比較において,1.25mg投与では,①72.7% vs. 60.0%, P<0.001,②11.1% (5/45) vs. 10.8% (4/37), P>0.999 ③0% vs. 0%,2.5mg投与では,①87.0% vs. 69.6%, P=0.012,②31.0% (9/29) vs. 23.8% (5/21), P=0.752,③11.1% (1/9) vs. 20.0% (1/5), P>0.999であった.
【結論】
10mm以内に位置する腫瘍に対し,ICG投与量を1.25mgから2.5mgに増やすと,両機器とも既知腫瘍の同定率が上昇し(PDE-NEO:72.7%→87.0%,PINPOINT:60.0%→69.6%),new lesion率も上昇した.PDE-NEOでは,2.5mg投与では既知腫瘍の同定率も上昇するが,3割近くで悪性の可能性の低いnew lesionも蛍光させることから,1.25mgが妥当なICG投与量と考えられた.一方PINPOINTにおけるICG投与量は,3.75mgや5mgへの増量による腫瘍同定感度向上の余地があると考えられた.
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