演題

O2-92-14-1

NanoSuit法を用いた走査型電子顕微鏡による胆道上皮表面微細構造の観察

[演者] 平出 貴乗:1
[著者] 坂口 孝宣:1, レミン トゥイン:1, 古橋 暁:1, 木内 亮太:1, 武田 真:1, 柴崎 泰:1, 森田 剛文:1, 菊池 寛利:1, 今野 弘之:2
1:浜松医科大学医学部 外科学第二, 2:浜松医科大学

【背景・目的】電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)はナノレベルでの微細な物質表面構造の観察が可能である.しかし,脱水などの前処理や高真空下観察影響で,水分を含む生体試料の表面構造は変形・破壊されている.特に,胆道系上皮は採取後短時間で上皮細胞が脱落するためにその表面構造観察は難しい.我々は,高真空下でも生きたままの生物観察が可能になるNanoSuit®法を報告してきた.今回は本法を用いた胆道上皮観察を病理と対比した.
【方法】倫理委員会承認,患者同意のもと,肝胆道系疾患で切除された胆嚢,胆管の正常部分を従来法及びNanoSuit®法で前処置し,観察結果を比較した.また,胆嚢ポリープ,胆嚢コレステローシス,胆管癌部などの病変部をNanoSuit®法を用いて観察した.観察組織は測定後パラフィン包埋し,病理学的に組織の整合性を確認した.
【結果】従来法では細胞構造の破壊に伴って組織表面は粗雑であり,観察は不可能であったが,NanoSuit®法では上皮細胞の微細な表面構造が観察された(Fig. 1).NanoSuit®法観察では胆嚢コレステローシスは表面平坦であるのに対し,胆嚢ポリープは上皮細胞が詳細に観察可能であった (Fig. 2).胆管癌切除検体では非癌部と比較して表面の凹凸が強く,表面構造は大きく異なっていた (Fig. 3).
【結論】NanoSuit®法を用いたSEM観察によって胆道系上皮の表面微細構造を明らかにできた.今後,本法を用いた解析がさらに進むことにより,病理では判断が困難であった癌部,前癌病変と非病変正常部分の境界などが判別可能となり,癌研究における新たな知見を生み出す可能性が期待できる.

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