演題

最新EBMならびに医療経済的効果からの検討

[演者] 康永 秀生:1
1:東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学

本発表では,大規模データベースを用いた漢方医学に関する医療経済学的研究の事例として,(i)大建中湯を用いた術後腸閉塞治療の効果と費用,(ii)慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫除去術後の五苓散使用による再手術率と医療費,について紹介する.我が国の大規模データベースであるDPCデータベースから,大腸癌術後早期の腸閉塞に対してイレウス管による減圧を要した症例を抽出した.イレウス管からの大建中湯を投与された患者群とされなかった患者群から,傾向スコア・マッチング(propensity score matching)を用いて対象者を選択した.アウトカムは在院死亡率,再開腹率,イレウス管挿入期間,入院医療費などとし,群間でアウトカムを比較した.在院死亡率および再開腹率には,両群間で有意差が認められなかった.イレウス管挿入期間は大建中湯投与群が中央値8日,非投与群が中央値10日となり,投与群の方が有意に短かった.(P = 0.012) 入院医療費は,大建中湯投与群の平均値が231万円,非投与群の平均値が269万円となり,投与群の方が有意に低かった.(P = 0.018) 本研究から,重症の術後腸閉塞患者において,大建中湯投与は,イレウス管挿入期間の短縮および入院医療費の削減に関連することが明らかとなった.慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫除去術後に五苓散を使用した群と使用しなかった群から傾向スコア・マッチングで対象者を選択し,再手術率と入院医療費を比較した結果,五苓散投与群の方が再手術率は有意に低く,入院医療費は有意に低くなる傾向が認められた.
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