演題

O3-131-10-5

TAPP法による単孔式腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TANKO-TAPP)の有用性

[演者] 山道 啓吾:1
[著者] 橋本 祐希:1, 菱川 秀彦:1, 田中 宏典:1, 松浦 節:1, 田中 義人:1
1:済生会泉尾病院 外科

【はじめに】鼠径ヘルニア手術は外科手術の中で唯一,臓器を取り出す必要のない手術である.従って,創は限りなく縮小できる可能性があり,また,術後疼痛や痺れなど術後の障害は極力少なくする必要がある手術といえる.一般的に鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術は鼠径部切開による前方アプローチに比べ,術後疼痛や痺れが少ないと言われている.しかし,創は小さいが,創数が増え,さらに鼠径部切開では下着に隠れる創が腹腔鏡手術では下着に隠れず,整容性には問題があるといえる.われわれは,整容性を向上するために臍の創1つで行うTAPP法による単孔式鼠径ヘルニア修復術(TANKO-TAPP)を導入し,さらに術後疼痛を軽減する目的で器械の細径化を図ってきた.今回,本術式の手技と工夫を示し,治療成績から有用性について報告する.【術式】導入当初はEZアクセス™を用いたマルチチャンネル法で行っていたが,現在は臍窩内に留まるベンツ切開を行い,5mmポートを2本,細径鉗子(BJ needle™)用2mmポート(BJ port™)を1本挿入するマルチトロッカー法で手術を行っている.本アプローチは鉗子間距離がとれ,器機の干渉が少なく,筋膜切開を必要としないため術後疼痛を軽減できる.腹膜はヘルニア門の外側を小切開し,Pneumo-Dissectionを応用し,剥離した後にSonoSurg™で切開を拡げる.次いで輸精管や精巣動静脈を損傷しないように鉗子で鈍的に腹膜を広範に剥離する.3DMAX™Light Mesh(L)を5mmポートからBJ needle™を用いて挿入,展開し,アブソーバタック™で固定する.腹膜はスキー針もしくはV-loc™によるぐし縫い連続縫合で閉鎖する.臍部の筋膜は吸収糸で1針のみ縫合し,皮下を4-0PDS™で埋没縫合し,手術を終了する.【結果】現在までTANKO-TAPPを110例,118病変に施行した.再発例や前立腺手術後症例など困難症例を含め,全例,完遂でき,重篤な術後合併症はなかった.また,慢性疼痛やしびれをきたした症例もない.手術時間は平均108分(74-175分)で出血量は微量であった.細径化により手技も安定し,臍部の変形はほとんどなく,整容性は極めて良好であった.術後の疼痛をNRSと鎮痛剤使用回数で評価すると前方アプローチ法やマルチチャンネル法のTANKO-TAPPと比較し,有意に軽減した.【結語】TANKO-TAPPは煩雑であるが,工夫により手技は安定し,術後疼痛が少なく,整容性に優れた有用な術式と思われた.
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