演題

O3-131-10-4

鼠径ヘルニア修復術における鼠径部切開法と腹腔鏡下手術の比較

[演者] 末永 泰人:1
[著者] 蜂須賀 丈博:1, 竹田 直也:1, 坂田 和規:1, 砂川 祐輝:1, 服部 正嗣:1, 寺本 仁:1, 鹿野 敏雄:1, 丸山 浩高:1, 森 敏宏:1
1:市立四日市病院 外科

【緒言】当科では以前よりヘルニア型や背景に応じて鼠径ヘルニア修復術の術式を選択してきた.近年では,術後疼痛軽減や早期社会復帰に関する腹腔鏡下手術の有用性の報告を受け,若年・高活動性の患者に対して腹腔鏡下手術を積極的に選択している.当院で施行してきたtransabdominal preperitoneal repair(TAPP)と鼠径部切開法の手術成績および術後疼痛・社会復帰に関する比較を行い,腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の利点と現在の適応の妥当性に関して後ろ向きに検討した.【対象と方法】2014年3月から2016年3月の間に実施した緊急手術を除く鼠径ヘルニア手術症例338例を対象に,手術時間,出血,入院期間,術後合併症を評価した.術後疼痛と社会復帰に関しては,2014年3月からの連続200例を対象に,手紙によるアンケート調査を実施した.術後疼痛は,入院中使用されたface scaleを用いて術後の各時期(手術翌日,1週間後,1ヶ月後,3ヶ月後,6ヶ月後,1年後,アンケート返答時)における疼痛を評価し,社会復帰については,日常生活,デスクワーク,スポーツ・肉体労働に関して,術前とほぼ同様の状態に戻るまでの期間を評価した.【結果】年齢は66±13歳,男性281例,女性37例,両側20例,術式はmesh plug法が188例,Direct Kugel法が98例,組織縫合法が2例,TAPPが44例,totally extra-peritoneal repair(TEP)が2例であった.手術時間は,mesh plug法:36±13分,Direct Kugel法:48±26分,TAPP:110±67分であった.平均入院期間は,mesh plug法:1.2日,Direct Kugel法:1.2日,TAPP:2.4日であった.血腫は,mesh plug法:6例,Direct Kugel法:4例,TAPP:1例であり,再発は,mesh plug法:0例,Direct Kugel法:1例,TAPP:1例であった.術後疼痛に関しては,疼痛の程度・継時的な推移のいずれにおいてもほぼ同等であった.術後社会復帰に関しても,ほぼ同等の結果であったが,スポーツ・肉体労働に関しては,腹腔鏡下手術で復帰が早い傾向を認めた.【考察】TAPPでは鼠径部切開法と比較して,手術時間が長い傾向を認めた.術後疼痛や社会復帰に関しては,各術式でほぼ同等の結果であったが,運動や肉体労働への復帰に関しては,TAPPで社会復帰が早い結果が得られた.活動強度の高い,若年・高活動性の症例においては腹腔鏡下手術の利点が生かされると考えられた.
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