演題

O3-130-10-6

鼠径ヘルニア手術における術式選択基準の検討

[演者] 添田 暢俊:1
[著者] 斎藤 拓朗:1, 根本 鉄太郎:1, 松井田 元:1, 押部 郁朗:1, 竹重 俊幸:1, 五十畑 則之:2, 隈元 謙介:2, 遠藤 俊吾:2
1:福島県立医科大学会津医療センター 外科, 2:福島県立医科大学会津医療センター 小腸・大腸・肛門科

緒言: 第13回 内視鏡外科手術に関するアンケート調査結果(2016年)によると腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(以下LH)の再発率はTAPP 3%,TEP 3.4%であり,鼠径部切開法(メッシュ法)(以下AP)と比べ,依然として高い.これにはLHの手術手技,learning curveの他にLHの手術適応にも要因があるかもしれない.一方,多くの施設(約42%)で手術術式がLHのみ又はAPのみで施行されている.
当院では2013年3月よりLH(膨潤TAPP)を導入しているが,導入当初より全例に腹腔鏡下手術を適応とするのではなく,再発予防を意識してLHとAPの2つの術式を基準を決めて使い分けている.術式の選択基準は基本的に➀ヘルニア分類 Ⅰ-3や陰嚢までに達するような大きなヘルニア(身体所見では手拳大以上),②抗血栓療法(2剤以上内服),③下腹部手術歴(特に前立腺癌手術),④重篤な併存疾患(全身麻酔が困難)
を有する症例ではLHのリスクが高いと考え,APを選択している.
目的:当院で経験した鼠径部ヘルニア修復術の術式選択基準の妥当性を検討する.
方法:2013年3月~2016年11月まで当院で施行した鼠径部ヘルニア手術症例312例を後ろ向きに検討した.検討項目は腹腔鏡手術(以下L群),鼠径部切開前方到達法(Direct Kugel 又はmesh plug法)(以下A群)の術後在院日数,術後合併症,再発率,背景因子とした.
結果:鼠径部ヘルニア手術症例はL群182例,A群130例.術前に選択基準①に該当した症例は1例(0.5%),A群22例(16.9%)(P<0.05).選択基準②に該当した症例はL群(1.1%),A群 14例(10.7%)(P<0.05).術後在院日数(中央値)はL群 2日,A群 3日(P<0.05).術後合併症はL群5例(2.7%)(漿液腫3例,腸管損傷1例,創部血腫1例),A群4例(2.2%)(漿液腫3例,創部血腫1例)(P=0.56).A群の合併症症例はすべて抗血栓薬内服症例.再発,慢性疼痛,感染は両群共に認めなかった(中央観察期間559日).
結語:両群どちらも再発を認めることなく,術式選択の基準は妥当だと思われた.ひとつの手術術式(腹腔鏡または前方到達法)にこだわることなく,愁訴の少なく,かつ再発をおこさせない術式を個々に選択すべきである.
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