演題

O3-130-10-2

700例に学ぶダイレクトクーゲル法のknacks and pitfalls

[演者] 諏訪 勝仁:1
[著者] 恩田 真二:2, 牛込 琢郎:1, 大津 將路:1, 成廣 哲史:1, 下山 雄也:1, 岡本 友好:1, 矢永 勝彦:2
1:東京慈恵会医科大学附属第三病院 外科, 2:東京慈恵会医科大学附属病院 肝胆膵外科

(目的)ダイレクトクーゲル鼠径部ヘルニア修復術 (MKH)の成績を示し,手術成績向上の
ための留意点を論ずる.
(方法)対象は2005年1月から2016年6月までに慈恵医大第三病院,慈恵医大附属病院で行われたMKH 701例中,前立腺摘出 (RPP)後で腹膜前腔癒着のためonlay repairに移行した2例 (66.7%, 701例中3例がRPP後),を除く699例.MKHはretroparietal spermatic sheath,posterior lamina of transversalis fasciaに着目した3段階腹膜前腔剥離法で行った.検討項目は手術時間,術後在院日数,手術部位合併症発生率,再発率,日常生活に復するまでの期間,ならびに慢性疼痛発現率.さらに慢性疼痛については性別,年齢,Body mass index (BMI),日本ヘルニア学会ヘルニアタイプ (JHS),術前疼痛の有無,鼠径管内神経温存・切離,手術時間を変数としてロジスティック解析を用いたリスク因子を検討した.データは中央値(幅)で示した.
(結果)フォローアップ期間は79 (6-144)ヵ月であった.患者年齢,男女比,BMI,American
Society of Anesthesiologists grade (1:2:3)は各69 (19-94)歳,621:78,22.21 (16.81-
34.16)kg/m2,259:399:41であった.患側 (右:左:両側),JHS分類 (I-1:I-2:I-3:II-1:II-2:II-
3:III:IV:rec)は各368:272:59,6:565:45:18:4:36:5:12:8であった.手術時間,術後在
院日数は各43 (14-175)分,1 (1-22)日であった.合併症は19例 (0.3%)にみられ,内訳は疼痛をともなう漿液腫7例 (1%),血腫・皮下出血6例 (0.9%),メッシュ感染1例 (0.1%)であった.漿液腫の1例は穿刺を要したが,血腫・皮下出血は圧迫で観察可能であった.感染例は大腿ヘルニア嵌頓例で腹膜前腔に膿瘍形成がみられたが,排膿洗浄で治癒した.再発は2例 (0.3%),いずれも外鼠径型再発でメッシュが内側に偏位していた.軽作業再開ま
での期間は0 (0-30)日,職場復帰は2 (1-30)日であった.慢性疼痛は39例 (5.6%)にみられ
た.慢性疼痛の明らかなリスク因子はなかった.
(結語)われわれの行うMKHは安全で早期社会復帰が可能であると考えられた.再発予
防にはメッシュが偏位しないよう十分なparietalizationと,鼠径靱帯との位置関係に配慮
したメッシュの留置が重要である.前立腺術後はよい適応ではないと考えられた.
詳細検索