演題

O2-64-7-5

大腸癌イレウスによるoncological emergencyに対する大腸ステント留置の検討

[演者] 五十畑 則之:1
[著者] 遠藤 俊吾:1, 隈元 謙介:1, 高柳 大輔:1, 添田 暢俊:2, 押部 郁朗:2, 根本 鉄太郎:2, 松井田 元:2, 齋藤 拓朗:2, 冨樫 一智:1
1:福島県立医科大学会津医療センター 小腸・大腸・肛門科, 2:福島県立医科大学会津医療センター 外科

【目的】緊急で減圧処置が必要な大腸癌イレウスはoncological emergencyである.減圧方法として手術による人工肛門造設や経肛門的イレウス管は以前から行われていたが,大腸ステントが適応となり,その使用は増加している.当院でも上部直腸までの大腸癌イレウスに対する減圧処置として大腸ステントを第一選択としており,その成績や問題点について検討した.
【方法】当院で大腸ステント留置を行った悪性大腸狭窄40例を対象とした.年齢中央値76(51~90)歳,男21例,女19例であった.留置目的はbridge to surgery: B群 27例,緩和治療palliative: P群13例であった.挿入部位は,盲腸1例,上行結腸 5例,横行結腸5例,下行結腸2例,S状結腸18例,直腸S状部4例,上部直腸5例であった.
【結果】留置成功率は95.0(38/40)%であった.B群で留置不成功1例とP群でステント逸脱1例に人工肛門造設を行った.両群に出血や穿孔の合併症はなかった.B群27例の経過は25例に手術を行い,1例は留置不成功で同日人工肛門造設を行ったが敗血症を併発し,1例はステント留置後に敗血症となり,いずれも処置翌日に死亡した.この2例は初診時の白血球が高値で,減圧処置後にアシドーシスと肝腎機能障害が進行し,腹痛の改善がないことが共通していた.この結果から臨床的成功率は92.5(37/40)%であった.ステント留置から手術までの期間は中央値20(6~69)日で,25例中23例で原発巣の切除が可能であったが,2例は他臓器浸潤のため切除不能で人工肛門を造設した.根治手術を行った23例中3例に人工肛門造設(永久2例,一時的1例)を要した.P群のステント留置期間の中央値は153(10~339)日であった.5例はステント留置後に化学療法を行った.1例はステント閉塞によるイレウスをきたし,ステント留置165日後に人工肛門を造設した.1例はステント留置117日後に腫瘍近傍に後腹膜膿瘍を形成し,37日後に死亡した.これ以外にはステント留置による有害事象やイレウス症状の再発は認めず,QOLの維持が可能であった.
【結語】Bridge to Surgery,緩和治療のいずれの場合でも大腸ステントは安全に挿入でき,挿入後にoncological emergencyの状態は回避された.しかし敗血症性ショックを来した,減圧処置のみでは救命できない症例もあることから,閉塞性腸炎の併存などステント留置においては留置技術ばかりでなく適応についても慎重に判断する必要がある.
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