演題

O2-64-7-1

大腸癌遊離穿孔症例の臨床学的検討

[演者] 荒川 和久:1
[著者] 八木 直樹:1, 星野 万里江:1, 岡田 拓久:1, 榎田 泰明:1, 高橋 憲史:1, 黒崎 亮:1, 清水 尚:1, 富澤 直樹:1, 安東 立正:1
1:前橋赤十字病院 外科

大腸癌に伴う大腸遊離穿孔により汎発性腹膜炎を発症し,緊急手術を施行した症例について,病態,治療,予後について検討し,その特徴,問題点,治療戦略について考察した.【対象】2008年8月から2016年8月までに当科で手術を施行した大腸癌に関連した大腸遊離穿孔症例28例(被覆穿孔,膿瘍形成のみの症例は除いた).男性:12例,女性:16例.年齢:41~90歳(平均:71歳).80歳以上の症例は10例.【方法】腫瘍部位と穿孔部位,腹膜炎の程度,手術術式,腫瘍の進行度・病理学的組織検査,術後合併症,術後のADL,予後などについて検討した.【結果】腫瘍部位は上行結腸:2例,横行結腸:3例,下行結腸:1例,S状結腸:12例,直腸癌:10例.穿孔部位は腫瘍部:16例,近位口側:8例,遠位口側:3例,腫瘍肛門側:1例.術式は原発巣切除が25例,非切除が3例(うち1例は2期的に原発巣切除).リンパ節郭清度は,D3:13例,D2:8例,D1:4例,D0:3例.深達度は,pSS:11,pSE:11例,pSI:3例,pA:1例.腫瘍進行度は,Stage II:11例,IIIa:3例,IV:14例.最終的な手術根治度は,A:9 例,B:4例,C:9例.術後合併症は18例(64%)にあり,うち感染性合併症は15例.術後入院期間は3~134日(中央値:36.5日).術前から敗血性ショックを呈していた2例が術後在院死亡.術後に手術や化学療法などの癌に対する治療を行えた症例は11例(39%)のみで,多くは年齢や全身状態不良などを理由に緊急手術後の癌に対する治療は行われていなかった.全症例の5年生存率は40%,根治度AかBの手術症例の5年生存率は60%であった.緊急手術後に癌に対する治療を施行した症例の生存率は,施行しなかった症例より有意に良好であった.また,救命できたとしても手術を契機に,術前と比べてADLが低下した症例も少なからずあった.【考察】大腸癌に関連して大腸遊離穿孔を発症した症例は,高齢者が多く,遠隔転移を伴ったStage IV症例が半数を占めた.大腸穿孔・腹膜炎に対する緊急手術では救命が最優先ではあるものの,治癒切除例では長期予後も期待できるため,癌の根治性も考慮した手術の施行も重要である.さらに進行癌症例が多く,予後延長を考えると,緊急手術後の癌治療の施行もまた重要と考えられた.一方で,本病態を呈する症例には高齢者も多く,入院・手術を契機としてADLが低下することにより以前の生活には戻れなくなる症例も少なからずあった.癌治療とは別の部分で,救命後の対処方法も課題であった.
詳細検索