演題

O2-63-7-4

破裂肝細胞癌に対する肝切除術の安全性と長期治療成績

[演者] 新川 寛二:1
[著者] 長谷川 潔:1, 河口 義邦:1, 山下 俊:1, 有田 淳一:1, 赤松 延久:1, 金子 順一:1, 阪本 良弘:1, 國土 典宏:1
1:東京大学大学院 肝胆膵外科学

【目的】破裂肝細胞癌は急激な出血に対する適切な止血処置だけでなく,長期予後改善のための腫瘍学的な治療戦略も必要な病態である.今回,われわれは当科における破裂肝細胞癌に対する肝切除術の安全性と長期治療成績について検討した.
【対象・方法】1994年10月~2013年12月に当科で肝外転移を伴わない肝細胞癌に対して初回肝切除を受けた1100例中,破裂肝細胞癌23例を対象とした.破裂群23例の術後短期成績について検討し,さらに破裂群と非破裂群の術後長期成績について比較検討した.
【結果】破裂群では全例で待機的手術が行われていた.緊急肝動脈塞栓術は19/23例(83%)で,術前門脈枝塞栓術が2例で施行されていた.術中肉眼的癌遺残陽性は3例で認められ,全て両葉多発肝細胞癌であった.clavien-dindo分類Grade3a以上の術後合併症は4/23例(17%)で認められたが術後在院死亡は認められなかった.術後再発は14/20例(70%)で認められ初回再発部位は,肝が7例,肺が4例,リンパ節が1例,骨が1例,腹膜播種が1例であった.初回再発時治療は手術が5例,肝動脈化学塞栓療法が3例,ラジオ波焼灼術が2例,全身化学療法が2例であった.破裂群の累積生存期間中央値は115.6ヵ月で,5年,7年,10年累積生存率は56%,56%.37%であった.非破裂群の腫瘍進行度別の累積生存期間中央値はstageⅠ:141.3ヵ月,stageⅡ:93.0ヵ月,stageⅢ:54.0ヵ月,stageⅣA:35.6ヵ月であり,10年累積生存率はstageⅠ: 56%,stageⅡ:42%,stageⅢ:23%,stageⅣA:22%であった.
【結論】破裂肝細胞癌に対して肝切除は止血が得られた後に待機的に行うことで在院死亡を認めること無く安全に施行可能であった.術後再発に対して手術を含めた治療を積極的に行うことで破裂肝細胞癌であっても長期予後が期待されると考えられた.
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