演題

O2-63-7-2

胃癌穿孔に対する治療戦略

[演者] 庄司 佳晃:1
[著者] 熊谷 厚志:1, 比企 直樹:1, 井田 智:1, 布部 創也:1, 大橋 学:1, 佐野 武:1, 山口 俊晴:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

背景 胃癌穿孔は稀な病態であり,急性腹症の1%以下,胃癌全体に占める割合も1%以下と報告されている.胃癌穿孔の治療では急性腹症の改善及び胃癌に対する治療を両立させる必要があるが,一期的に胃切除を行った場合の術後死亡率は7%に上ると報告されており,待機的胃癌手術と比較し明らかに高い.近年では,大網充填などで腹膜炎をコントロールした後に根治術を行う二期的手術の有用性についての報告が散見される.

方法 2011年3月から2016年11月までに当科で胃癌穿孔と診断された症例の臨床病理学的背景および治療経過を後ろ向きに調査し,胃癌穿孔に対する治療方針を検討した.

結果 症例数は9例であった.胃癌穿孔診断時の年齢中央値は66歳(31-78)歳,男女比は5:4であった.
1例は保存的に加療され,その他の8例では大網充填または穿孔部閉鎖を伴う洗浄ドレナージ術が施行された.洗浄ドレナージ術が行われた8例中4例では腹腔鏡下に手術が施行された.開腹手術例2例にClavien-Dindo(CD)分類Grade IIの創感染,腹腔鏡手術例1例にCD分類GradeIIIbの後出血を認めたが,その他に重篤な合併症は認めなかった.8例のうち5例はStage IVの診断のもとに緩和的化学療法施行中または施行予定であった.Stage IV症例のうち2例では穿孔部の治癒が遷延し,原病の増悪により死亡退院となった(術後在院日数それぞれ33日,65日)が,その他の3例には外来で緩和的化学療法が施行され,うち1例は術後127日目に死亡,2例は生存中である(観察期間はそれぞれ389日,402日).8例のうち3例では穿孔時に非治癒切除因子を有さず,二期的にR0手術が可能であった.R0手術例は全例無再発生存中であり,観察期間はそれぞれ137日,993日2355日であった.
結語 胃癌穿孔に対する大網充填または穿孔部閉鎖を伴う洗浄ドレナージ術は有効かつ安全であり,腹腔鏡下手術も選択肢になり得る.穿孔時に非治癒切除因子がない症例では,腹膜炎をコントロールした後のR0手術により長期生存が得られる可能性がある.また,Stage IV症例でも術後に化学療法の導入が可能となれば比較的良好な予後が期待できる.
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