演題

O2-67-9-5

切除不能進行膵癌の予後因子からみたconversion surgeryの意義

[演者] 澤田 成朗:1
[著者] 吉岡 伊作:1, 渋谷 和人:1, 関根 慎一:1, 渡辺 徹:1, 橋本 伊佐也:1, 北條 荘三:1, 奥村 知之:1, 長田 拓哉:1
1:富山大学大学院 消化器・腫瘍・総合外科学

【はじめに】予後が極めて不良の切除不能膵癌(URPC)が膵癌取り扱い規約で明確になった.今回URPCに対するこれまでの治療結果を検証しその治療戦略ならびにconversion surgery(CS)の意義について検討したので報告する.【対象】1997年10月から2016年8月まで当科で診療したURPC87例を対象とした.平均年齢66.7歳,男性:女性=56:31例,fStageIIA:IIB:III:IV=1:1:30:55例,UR-LA:34例,UR-M:44例,UR-LA+M:9例.治療の内訳はBSC:12例,化学療法47例,放射線治療3例,化学療法+放射線治療11例,腫瘍切除+化学療法8例,腫瘍切除+化学療法+放射線療法1例,CS5例.化学療法はFP,Gem,S-1,GS,Gem-nabPTX,mFOLFIRINOXであった.【方法と結果】75歳以上,男性,fStageIV,UR-M,O-PNI<40,膵頭部癌,化学療法,放射線療法,腫瘍切除の因子についてCox比例ハザードモデルを用いた解析を行った.単変量解析では75歳以上,fStageIV,UR-M,O-PNI<40,化学療法,腫瘍切除が抽出された.多変量解析では化学療法(HR=0.23, p<0.001)と,腫瘍切除(HR=0.42, p=0.0178)が独立した予後規定因子であった.対象を化学療法例and/or腫瘍切除例の72例に限定し,前述の検討因子に,GS(27例),Gem-nabPTXやmFOLFIRINOXの新世代化学療法(16例),GS+新世代化学療法(4例),CSの因子を加えて解析を行った.単変量解析では75歳以上,fStageIV,UR-M,腫瘍切除施行例,GS療法例,CSが抽出され,多変量解析ではGS(HR=0.43, p=0.009)が独立した予後規定因子であった.CSはHR=0.29, p=0.080であった.CSで術後1年以内死亡例は大動脈周囲リンパ節転移が複数個存在した膵体尾部癌の70代の女性の一例のみであった.URの中で最も長期生存した例は播種にて化学療法後CSを行いR0となった膵体尾部癌の60代女性で42ヶ月であった.【考察】化学療法不可能症例がBSCや放射線治療単独となったこと,化学療法に反応した症例がCSを施行しえたこと,新世代化学療法施行例は観察期間が短いことなどが患者背景にはあるものの,今回の検討ではGS療法がURPCの予後を強く改善させることが判明した.CSの適応については大動脈周囲リンパ節転移が疑われる症例では,術中迅速病理診断の結果をもとに切除を決定すべきと考えた.
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