演題

O2-67-9-3

当院における膵癌conversion surgeryの治療成績

[演者] 奈良 聡:1
[著者] 江崎 稔:1, 岸 庸二:1, 岩崎 寿光:1, 島田 和明:1, 稲垣 悠二:2, 上野 秀樹:2
1:国立がん研究センター中央病院 肝胆膵外科, 2:国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科

【背景】近年,膵癌に対するconversion surgeryの報告が増加している.
【目的】当院の治療成績を検討.
【対象と方法】2005-2016年にconversion surgeryを施行した浸潤性膵管癌17例の臨床病理学的因子,予後を解析した.また2006~2015年に内科治療のみ行ったBorderline resectable (BR)23例,局所進行(LA-UR)134例の予後と比較した.連続変数は中央値(範囲)で記載.
【結果】患者の男女比は8:9,年齢は65才(53-80).当初切除不能と診断された理由は,局所過進展(BR-A 12例,LA-UR 3例),肝転移1例,腹膜播種1例.術前治療の内訳は,化学療法(Chemo)単独11例,化学放射線療法(CRT)単独2例,両者4例.術前治療開始から手術までの期間はBR-A症例で7ヵ月(3-17), LA-URまたは遠隔転移あり症例では15カ月(3-35)であった.CA19-9は術前治療前135U/ml (0-4902)だったが,術前治療後21U/ml (0-498)と有意に低下していた(P=0.001).術前画像RECIST評価はPR10例,SD7例.術式は膵頭十二指腸切除13例,膵体尾部切除(DP-CAR含)4例で,門脈合併切除が7例,動脈合併切除再建が1例に施行され,14例でR0切除が得られた.術後膵液漏を6例,Clavien Dindo分類grade III以上の合併症を3例に認め,術後在院日数21日(13-62)で全例軽快退院した.病理診断で腫瘍径は2.8cm(1-6.4),リンパ節転移率18%であった.術後経過観察期間15カ月(2-92)で再発を6例(35%)に認め,全症例の1,3,5年全生存率は93, 73, 73%だった.一方,内科的治療を行ったBR,LA-UR症例の生存期間中央値,1,2,3年生存率は各々13ヵ月, 55%, 28%, 7%,16ヵ月, 68%, 21%, 9%でconversion surgery群より有意に予後不良であった.(P<0.001)
【考察】conversion surgery症例は,長期間の術前治療中に局所進展がなく,遠隔転移の出現もない症例を選択しているため,切除後は非切除症例と比べ,良好な予後が期待できる.術後合併症の明らかな増加は認めないことから,長期間内科的治療後,腫瘍マーカーが減少し,画像上腫瘍進展のない症例ではconversion surgeryを治療選択枝として考慮すべきである.
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