演題

消化器癌におけるctDNA検出の臨床的意義と臨床応用にむけての提言

[演者] 三森 功士:1
[著者] 長山 聡:2, 上田 正射:1,3, 土岐 祐一郎:3, 森 正樹:3
1:九州大学病院別府病院 外科, 2:がん研究会有明病院 消化器外科, 3:大阪大学大学院 外科学

消化器癌の血清腫瘍マーカーを凌駕し臨床的意義を有するバイオマーカーが求められて久しい.担癌患者では,癌細胞由来のcirculating tumor DNA (ctDNA)断片が血液中に存在しゲノムレベルの突然変異が高い腫瘍特異性を有することから担癌状態を示す新たなロバストなマーカーとして期待される.本報告では,ctDNA検出により1)術後再発の早期発見や治療効果の評価は可能か?また,癌は多様性のため難治性を呈することから,2)多様性の評価は可能か?明らかにする.
1)(1)食道癌症例:食道癌原発巣のエキソームにより癌パネルを作製.根治術施行13例につき経時的に採血しターゲットシーケンスでctDNAの突然変異をみた.その結果,原発巣で高頻度に変異を認めた4遺伝子のcfDNA 感度78.9%,特異度100%であった.術前化学療法によりcfDNAの突然変異のアリル頻度(AF)は著明に減少した.再発を認めなかった2例のAFは増加しなかったが,再発を認めた2症例のAFは増加しており,その変動は腫瘍マーカーや画像診断に先行していた.(2)大腸癌症例:stage I/IIだが,のちに肝・肺転移再発し切除/多剤併用療法実施の大腸癌10例を解析した.全例原発巣と転移巣のエキソームシーケンスを実施し,原発巣と転移巣とで共通した変異遺伝子をとりまとめてひとつのカスタム癌パネルを作製し10例に適用した.解析可能6例46 points(経時的採血機会)についてターゲットシーケンスの結果をまとめた.i)検出陽性が期待された原発巣切除前と転移巣発見時は検出感度20/25 points(80.0%).ii)検出陰性が予想される原発巣/転移巣切除後と化学療法実施後の特異度17/21 (81.0%)であった.以上より,経時的なctDNA解析により様々な臨床局面を反映し,どのクローンがドミナントな担癌状態かについて情報が得られた.
2)理論上ctDNAは原発巣の多様性を克服して検出されることが期待される.しかし,われわれは先の大腸癌10例において原発巣とctDNAのエキソームシーケンスを実施した.その結果depthが浅く原発巣とctDNAとで共通する変異遺伝子は殆ど認められなかった.原発巣の多様性は厳密には複数箇所のシーケンス情報とSNPアレイとで正確にコピー数も併せて評価する必要があり,臨床的にctDNAは原発巣の多様性を評価するためのツールではなく,メジャークローンを対象にターゲットシーケンスにより再発の早期発見や治療標的分子の決定などに用いるべきと提言したい.
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