演題

O2-65-9-4

切除可能膵癌に対する術前化学放射線治療の有用性

[演者] 三木 厚:1
[著者] 佐久間 康成:1, 笠原 尚哉:1, 遠藤 和洋:1, 小泉 大:1, 笹沼 英紀:1, 堀江 久永:1, 細谷 好則:1, 北山 丈二:1, 佐田 尚宏:1
1:自治医科大学医学部 消化器外科学

膵癌は予後不良であり,根治切除された症例でさえも予後はいまだ不十分である.そのため,集学的治療戦略の開発が急務であるが,当科では,部分的に門脈浸潤を伴う切除可能膵癌に対し,S1を用いた術前化学放射線治療(CRT)を施行している.その治療成績を報告する.
2008年5月から2016年4月の間に,当科で膵癌と診断され根治切除を施行し,術後病理診断で浸潤性膵管癌の診断を得た膵癌症例を対象とした.術前CTで①動脈浸潤がない②門脈に180°以上の浸潤がない症例を切除可能膵癌とした.術前化学放射線療法はS1と放射線治療(total 50.4Gy)を行った.膵頭部癌に対しては,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を,膵体尾部癌に対しては,膵体尾部切除を基本術式として行った.生存分析は,propensity score matching法でマッチングを行い,Kaplan-Meier curve と log-rank test を用いてCRTの有効性を検討した.統計学的解析にはJMP v13を用いて,p<0.05を有意とした.
切除可能膵癌に対する術前化学放射線療法施行群(CRT群)は10例であった.平均年齢は非CRT群が67.5歳でCRT群が 69.7歳(p=0.495)であった.男女比は非CRT群が30:34でCRT群が3:7(p=0.310)であった.臨床病期は,非CRT群がIA 18,IB 5,IIA 21,IIB 14, III 6例でCRT群がIA 1,IB 1,IIA 6,IIB 2,III 0例(p=0.318)であった.チャールソン併存疾患指数は非CRT群が2.92で,CRT群が 2.70(p=0.448)であった.術式は,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が非CRT群34例でCRT群8例,膵体尾部切除術が非CRT群30例でCRT群2例であった.Over all survival(2年生存率)は非CRT群が41%,CRT群が100%(p=0.032)で,Disease free survivalが(2年生存率)は非CRT群が33%,CRT群が58%(p=0.042)で,いずれもCRT群が良好であった.
門脈浸潤を有する切除可能膵癌に対する術前CRTは膵癌治療戦略の選択肢の一つと成りえる.
詳細検索