演題

O2-65-9-3

Neoadjuvant therapyはすべての切除可能膵癌に必要か?

[演者] 中川 直哉:1
[著者] 村上 義昭:1, 上村 健一郎:1, 近藤 成:1, 岡野 圭介:1, 岡田 健司郎:1, 大毛 宏喜:2, 末田 泰二郎:1
1:広島大学大学院 外科学, 2:広島大学病院感染症科

(目的)当科で手術先行治療を施行してきた切除可能膵癌の予後因子を検討し,切除可能膵癌に対するNeoadjuvant therapyの適応について検討した.(対象および方法)2002年より当科で切除を施行した切除可能膵癌175例(平均年齢70歳,男女比97:78)を対象とし,その予後因子を単変量・多変量解析で検討し,切除可能膵癌に対するNeoadjuvant therapyの適応症例について検討を行った.切除可能の基準は,NCCNガイドライン2.2016に従い,切除可能境界膵癌は除外した.全例,手術先行治療後術後補助化学療法施行(主にgemcitabine+S-1(GS)療法)を標準治療とした.(結果) 全175例の術前血中CA19-9中央値は97U/ml(0-42060U/ml)で,腫瘍最大径の中央値は28mm(1-70mm)であった.手術は,膵頭十二指腸切除102例,膵体尾部脾切除71例,膵全摘2例が施行され,17例に門脈合併切除が併施された.Grade Ⅲ以上の合併症は39例に認められたが,90日以内術死例は無かった.切除標本の病理所見では,145例にR0切除術が施行され,100例にリンパ節転移が認められた,UICC stageはIA,IB,IIA,IIB,IVが,それぞれ,10,10,54,79,22例であった.術後補助化学療法は,159例に施行され,GS療法,S-1単剤,gemcitabine単剤が,それぞれ,137,13,9例に施行された.術後化療不能理由は,80歳以上高齢10例,心・腎機能低下4例,拒否2例であった.全175例の予後因子解析では,単変量解析では術前血中CA19-9値(p<0.001),術前腫瘍最大径(p<0.001),門脈切除の有無(p=0.024),リンパ節転移の有無(p<0.001),術後補助化療の有無(p=0.018)が有意な予後因子として抽出され,多変量解析では,術前血中CA19-9値150U/ml以上(p=0.001),術前腫瘍最大径28mm以上(p=0.035),リンパ節転移有(p=0.003),術後補助化療無(p=0.006)が独立した予後不良因子であった.術前血中CA19-9値150U/ml以上・以下,術前腫瘍最大径28mm以上・以下の5生率は,それぞれ,28%・62%,33%・63%であった.(結語)切除可能膵癌では,術後補助化療が高率に施行可能であること,術前治療の不能例が10-20%存在することを考慮すると,切除可能膵癌のNeoadjuvant therapyは,術前血中CA19-9値,術前腫瘍最大径を考慮に入れた適応の決定が妥当であることが示唆された.
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