演題

O3-136-12-5

腹腔鏡下肝切除術をベースとした胆嚢腫瘍に対する新たな治療戦略

[演者] 友國 晃:1
[著者] 小林 省吾:1, 秋田 裕史:1, 高橋 秀典:1, 高橋 佑典:1, 杉村 啓二郎:1, 三吉 範克:1, 文 正浩:1, 安井 昌義:1, 大森 健:1
1:大阪府立成人病センター 消化器外科

【背景と目的】胆嚢癌治療において根治を期待しうるのは外科切除のみであり,占拠部位,深達度により多彩な術式を想定しうるが,術前に病理学的確定診断を得られず,妥当な術式選択に苦慮する場合がある.胆道癌診療ガイドラインでは,胆嚢癌が疑われる症例に対する腹腔鏡下根治術については論文が一報紹介されているに過ぎず,原則として開腹胆嚢摘出術が推奨されている.当院でも明らかな胆嚢癌に対する手術は開腹でアプローチしているが,ますます腹腔鏡下肝切除が普及しつつある現状を踏まえ,腫瘍径が1~2cm程度で悪性の診断がついていない胆嚢腫瘍症例に対しては,腹腔鏡下手術を中心とした新たな外科的治療戦略を導入しており,その手術手技を提示するとともに,現在までの症例の成績を報告する.【対象と方法】原則として1~2cm程度の体部または底部の胆嚢腫瘍症例を対象に,腹腔鏡下拡大胆嚢摘出術を施行し,術中迅速胆嚢胆汁細胞診,胆嚢腫瘍擦過細胞診,胆嚢腫瘍組織診にて悪性所見が認められた症例に対し,腹腔鏡下に肝門部リンパ節サンプリングを併施する.また術中迅速診にて胆嚢管断端陽性となった場合は,開腹移行のうえ肝外胆管切除+肝門部リンパ節郭清を行うこととしている.【結果】これまで上記方針に基づき合計16例の胆嚢腫瘍症例を治療した.16例の背景因子は年齢 70歳 (41-81歳),男性11例:女性5例,術前画像診断における腫瘍サイズ 10 mm (6-35 mm)であった.全例に対し腹腔鏡下拡大胆嚢摘出術を施行し,これらのうち術中迅速診断にて胆嚢癌と診断され,肝門部リンパ節サンプリングを併施されたものは6例 (38%)で,胆嚢管断端陽性例は認められず,肝外胆管切除を施行した症例はなかった.胆嚢癌と診断された6例の切除標本における腫瘍径は33 mm (15-65 mm),深達度はpTis 2例: pT2 3例: pT3 1例で,病理学的リンパ節転移陽性例は認められなかった.術後経過はいずれも良好でClavien Dindo Grade IIIa以上の合併症を認めなかった.【結語】当院における腹腔鏡手術をベースとした胆嚢腫瘍に対する新たな治療戦略は短期的には安全に施行できており,長期的な検討に向けて観察するとともに,さらに症例を蓄積中である.
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