演題

O2-98-15-5

肝内胆管癌に対する術前療法の効果について

[演者] 臼井 正信:1
[著者] 栗山 直久:1, 飯澤 裕介:1, 加藤 宏之:1, 種村 彰洋:1, 村田 泰洋:1, 岸和田 昌之:1, 水野 修吾:1, 櫻井 洋至:1, 伊佐地 秀司:1
1:三重大学大学院 肝胆膵・移植外科学

【目的】肝内胆管癌はいまだ予後不良な疾患であり,特に肝門部浸潤を認める中枢型肝内胆管癌や末梢型でも腫瘍径が大きくリンパ節転移がある症例では予後不良である.当科では,リンパ節転移陽性あるいは局所進行肝門部領域胆管癌の範疇となる肝内胆管癌に対し2007年から術前放射線化学療法を開始し,2011年からはTS-1/ GEM (GS)による化学療法先行治療を開始した.今回その治療成績を解析し,術前加療の効果について検討した.【対象と方法】2007年4月から2016年12月までに当院で切除が施行された肝内胆管癌29例(中枢型18例,末梢型11例)を対象とした.術前加療は時期別に異なり,CRT(2007~):体外照射45Gy+GEM800mg/m2の隔週投与,CT(2011~):S180mg/日(21日間投与)+GEM1000mg/m2を2コースを施行.11例(CRT2例・CT9例)に術前治療を行った(中枢型 8例,末梢型 3例).【成績】年齢の中央値は68歳(39-80)で,観察期間の中央値は16か月(4-85ヵ月)であった.R0切除は26例(89.7%)であった.中枢型の5例(27.8%)にリンパ節転移を認めたが,末梢型にはリンパ節転移を認めなかった(p=0.073). 局在別予後(生存期間の中央値:MST)は,中枢型で28ヵ月, 末梢型で39ヵ月と有意差はなかった.予後因子解析ではT因子(III~)のみが予後不良であり(p=0.001),肉眼型,リンパ節転移,遠隔転移,R1~2,術前化療・術後化療には有意差を認めなかった.【症例】術前加療著効例を呈示する. 76歳女性. 肝右葉を占拠する14cmの腫瘍で 肝門部から門脈左枝, 左肝静脈に浸潤が疑われた. 腫瘍生検で腺癌であり,巨大な中枢型肝内胆管癌と診断し化学療法先行治療を行った.GS10コース終了後, 腫瘍は8.8cmまで縮小し, 肝門部・左肝静脈との距離も確保できた. 手術可能と判断し,手術を施行した. 切除標本では, 腫瘍はそのほとんどが壊死および線維化組織に置換され, 残存した腺癌細胞は1mmの範囲のみであった. R0切除でリンパ節転移陰性であった. 術後経過は良好で14日目に退院した. 術後半年間GEMによる補助化学療法を行い1年の現在無再発生存中である.【結語】肝内胆管癌に対する術前化学療法を進行癌+リンパ節転移陽性の進行した症例に行い,結果として術前加療を必要としない症例と予後に差はなく,予後の改善に起因する可能性が示唆された.また,切除不能とされた肝内胆管癌でも, 化学療法を行うことで根治的切除が可能となる症例も存在し, 予後の改善が期待された.
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