演題

O2-98-15-2

肝内胆管癌リンパ節転移陽性患者の治療経過から鑑みたリンパ節郭清の意義

[演者] 打波 宇:1
[著者] 渡辺 剛:1, 吉岡 政人:1, 飯田 正毅:1, 中川 康彦:1, 山本 雄造:1
1:秋田大学大学院 消化器外科学

【背景】
多くの消化器癌では,系統的リンパ節(LN)郭清が広く推奨されているが,肝内胆管癌(ICC)に対しては肝のリンパ流出路が多方面にわたるという理由から,系統的LN郭清を行っても予後改善効果は乏しく郭清の意義は無いとする主張が多い.しかし,LN転移陽性であっても長期生存例が存在することから,R0達成のためにはLN郭清を完全に否定することもできない.当科では術前の正確なLN転移診断は困難であるという見解から,可能な限り系統的LN郭清を施行してきた.今回,LN転移陽性患者の腫瘍因子および臨床学的特徴を解析し,LN郭清の意義について考察した.
【方法】
1995年から2015年に根治切除を施行した腫瘤形成(MF)型およびMF優位型ICC症例32例を対象とした.右葉系ではNo.8, 12, 13, 16を,左葉系では加えてNo.1, 3を系統的LN郭清の範囲とした.
【結果】
LN転移陰性は18例,LN転移陽性は14例であり,系統的LN郭清は,LN転移陰性群で9例,LN転移陽性群で11例に施行された.LN転移陰性群と陽性群の全生存率および無再発生存率に有意差は認められず(5年生存率:31.7% vs. 35.7%,5年無再発率:23.5% vs. 14.3%),LN転移陽性でも3年以上の生存例を4例(33.3%)認めた.LN転移陽性群で予後を規定する腫瘍因子は,主腫瘍の漿膜浸潤(5生浸潤有14.3% vs. 浸潤無57.1%,p=0.067),肉眼的脈管侵襲(5生侵襲有0% vs. 侵襲無55.6%,p=0.052),CA19-9値>200(5生200以上0% vs. 200未満62.5%,p=0.004)で,腫瘍サイズや肝内転移,転移リンパ節個数には有意差を認めなかった.多変量解析ではCA19-9値>200のみが予後を規定する可能性がある因子として抽出された(p=0.072).LN転移陽性症例の初回再発形式の検討では,再発症例12例中,肝転移再発が9例(75%)と最多であり,LN再発は5例(42%),うち3例(25%)に腹腔外LN転移(縦隔2例,左鎖骨上1例)を認めた.LN転移陰性群ではLN再発を来した症例は認められなかった.
【結語】
ICC症例でLN転移が陽性であった場合,根治は困難であることは間違いないが,系統的郭清を基本とした治療方針でLN転移陰性群と予後に差が認められなかったこと,手術介入が不可能な腹腔外LN転移は全症例中10%程度しかなかったことから,全症例に対して郭清を省略する理由は無いと考えられる.少なくとも予後が期待できる術前CA19-9が低値な場合にはLN転移が疑われたとしても系統的LN郭清を併施すべきであると思われた.
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