演題

O2-96-15-1

術前CA19-9値を考慮した進行肝内胆管癌の治療戦略の検討

[演者] 杉浦 禎一:1
[著者] 岡村 行泰:1, 伊藤 貴明:1, 山本 有祐:1, 蘆田 良:1, 大木 克久:1, 山田 美保子:1, 絹笠 祐介:2, 寺島 雅典:2, 上坂 克彦:1
1:静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 消化器外科

【目的】肝内胆管癌(ICC)における予後に基づいた術前減黄後CA19-9値の至適cut-off値を算出し,CA19-9値を考慮したICCの治療戦略を検討した.【方法】2002-2015年のMF優位型のICC77切除例(MF:MF+PI:MF+IG=53:16:8)のうちCA19-9<2 U/mLの4例を除外した73例を対象とした.Controlとして多発肝転移,リンパ節転移(LNM),局所進行による切除不能群(UR群:n=20, MST14.5か月)と比較し,1)全生存率(OS)に基づいたCA19-9値の至適cut-off値の算出,2)予後因子の解析,3)リンパ節転移陰性例におけるPropensity score matching(PSM)を用いたリンパ節郭清の意義の検討を行った.【結果】22例(30%)にLNMを認め54例(74%)にLN郭清を施行.5年全生存率(OS)34.8%,生存期間中央値34.0か月であった.1)最少p値法を用いたOSに基づいたCA19-9の至適cut-off値は300 U/mLであった(CA19-9<300 U/mL: MST46.9か月vs. CA19-9≧300 U/mL: 15.3か月, p<0.01).CA19-9 37-300 U/mL群はCA19-9<37 U/mL群と同等の予後であった(MST45.1か月vs.49.6か月,p=0.84).2)単変量解析ではCA19-9≧300 U/mL(p<0.01), LNM(p<0.01),肝内転移(IM, p=0.04),MF+PI型(p<0.01)が予後不良であり,多変量解析の結果,CA19-9≧300 U/mL, IM, MF+PIが独立した予後因子であった.LNM陽性(MST28.2か月)はLNM陰性より予後不良であったが(p<0.01),UR群より予後良好であった(p<0.01).CA19-9<300 U/mLにおけるLNM,MF+PI,IM例はそれぞれMST34.0か月,32.9か月,35.2か月と比較的良好な成績であったが,CA19-9≧300ng/mLにおけるLNM,MF+PI,IM例はそれぞれMST8.7か月,7.5か月,8.7か月でUR群と同等の成績であった(p=0.39, 0.76, 0.75).3) LNM陰性群においてPSMを用いて背景因子をそろえて抽出した24例においてLN郭清施行群(n=12, MST32.7か月,5生率41.7%)と非施行群(n=12, MST49.5か月,5生率42.9%)でOSに差はなかった(p=0.92).【結語】OSに基づいたCA19-9の至適cut-off値は300 U/mLで,CA19-9 37-300 U/mLはCA19-9正常群と同等の成績であった.LNM,MF+PI,IM例でもCA19-9<300 U/mLであれば積極的切除で予後を改善し得るが,長期生存例は少なく周術期化学療法の早期確立が望まれる.LNM,MF+PI,IMを有しかつCA19-9≧300 U/mLの症例はUR群と同等の成績であり慎重な切除適応の判断を要する.一方でLNM陰性例に対するLN郭清は予後の改善に寄与せず,LN郭清を省略し得る可能性が示唆された.
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