演題

O1-52-18-6

手術先行進行下部直腸癌における側方郭清の現状と治療成績

[演者] 植田 剛:1
[著者] 井上 隆:1,2, 尾原 伸作:1, 中本 貴透:1, 佐々木 義之:1, 中村 保幸:1, 小山 文一:1,2, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学医学部 消化器外科・小児外科・乳腺外科学, 2:奈良県立医科大学附属病院 中央内視鏡部

【はじめに】進行下部直腸癌において,本邦のガイドライン上では側方郭清を伴うTMEが標準治療とされている.しかし,術前治療については施設ごとの判断となっており,側方郭清を省略することも多くなっている.
【目的】当科では画像上転移陰性例でもガイドライン上の適応症例に対し耐術能があれば側方郭清を施行している.ガイドラインの妥当性を検証するべく当科における手術先行例での側方郭清の現状を検討した.
【方法】2006~2013年に手術を施行した腫瘍肛門側縁がRbにかかるcT3以深の112例中,手術先行の102例を後方視的に検討した.
【結果】側方郭清は76例(74.5%)に施行.施行しなかった26例(25.4%)の内訳は,中央値77歳の高齢者またはASA4度以上の症例であった.郭清あり群では側方リンパ節転移を12例(15.8%)に認め,郭清なし群ではフォロー中に5例(19.2%)で画像上明らかな側方リンパ節転移を認めた.
郭清あり群となし群間での臨床病理学的因子を比較すると,郭清なし群で有意に高齢,ASA高値であったがそれ以外の因子では有意差を認めなかった.
郭清あり群となし群で短期合併症をClavien-Dindo分類で比較すると,Grade1以上の合併症は45/76(59.2%)vs 9/26(34.6%),Grade3以上の重篤な合併症は20/76(26.3%)vs 2/26(7.7%)と郭清あり群で有意に多かった.
予後に関しては,3年Overall survival(OS),Disease free survival(DFS),Local relapse free survival(LRFS)とも郭清有無2群間で明らかな有意差を認めなかった.
郭清あり群で,転移陰性例と陽性例を比較すると,OS(90.8/46.7%),DFS(76.0/16.7%),LRFS(86.8/56.3%)のすべてにおいて転移陽性例が有意に不良であり,転移陽性再発例での長期生存例は再発巣切除+化学療法可能症例のみであった.
予後因子を解析すると環周度2/3周以上,側方リンパ節転移陽性が独立予後因子として抽出されるが,側方郭清施行は抽出されなかった.
【結論】側方リンパ節転移陽性は独立予後不良因子であるが,側方郭清を施行すること自体に予後延長効果を見いだせなかった.一方で側方リンパ節転移陽性であっても,側方郭清施行のうえ,再発転移巣切除と化学療法を組み合わせれば,長期生存の可能性はある.今後は,術前画像での側方転移陽性例の選別が必要であり,過不足のない側方郭清の適応と術前治療の設定が重要と考える
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