演題

O1-52-18-5

当科におけるStage II-III直腸癌に対する側方リンパ節郭清の成績と問題点

[演者] 園田 寛道:1
[著者] 清水 智治:1, 三宅 亨:1, 植木 智之:1, 太田 裕之:2, 竹林 克士:1, 飯田 洋也:1, 目片 英治:2, 遠藤 善裕:3, 谷 眞至:1
1:滋賀医科大学医学部 外科学講座消化器外科乳腺・一般外科, 2:滋賀医科大学医学部 総合外科, 3:滋賀医科大学医学部 臨床看護

【はじめに】当科における進行下部直腸癌に対する標準治療は側方リンパ節郭清(LLND)を伴う根治手術で,術前放射線治療を行わない.LLNDは当初は開腹手術で行なっていたが,2013年7月より腹腔鏡下側方リンパ節郭清(Lap-LLND)を開始した.
【目的】当院におけるLLNDの治療成績と問題点について検証する.
【方法】1.Lap-LLNDの手術成績を現在と同一スタッフで施行した開腹LLND(O-LLND)の成績を比較した.2.1997年より2016年に当科で施行したLLNDを伴う直腸癌根治切除を施行したpStage II-III症例78例を対象に治療成績を検証した.
【結果】1.側方リンパ節郭清個数はO-LLND:15個,Lap-LLND:16.5個と有意差を認めなかった.術後合併症はO-LLND:85.7%,Lap-LLND:50%とO-LLNDに多かったが,排尿障害はO-LLND:14.3%,Lap-LLND群:18.8%と有意差を認めなかった.2. 78例の5年全生存率(OS)は68.8%,無再発生存率(DFS)は64.5%であった.Stage別ではOS,DFSともStage IIとIIIaでは有意差を認めなかった.Stage IIとIIIbでは,5年OSで69.7% vs 56.4% (P=0.15),DFSで66.9% vs 48.5% (P=0.052)とStage IIIbの方が悪い傾向にあった.側方リンパ節転移を認めたのは12例(15.4%)であり,側方リンパ節転移の有無で比較すると,OS(72.9% vs 45%, P=0.048),DFS(70.6% vs 30%, P=0.003)ともに有意に側方リンパ節転移陽性群が悪かった.側方リンパ節転移陽性症例のうち術前画像診断(CT,MRI)で側方リンパ節転移陽性と診断されたのは4例(33.3%)であり,そのうち3例は術後補助化学療法を行ったが,いずれも術後18ヶ月以内に再発を認めた.側方転移陽性例で術後5年以上の長期生存を認めた3例はいずれも術前画像診断陰性で,組織学的側方転移個数1個の症例であった.
【結語】Lap-LLNDの手術成績はO-LLNDと遜色なかった.術前画像診断陰性症例に対する予防的側方リンパ節郭清で3例長期生存を果たしており,全例で術前治療なく予防的側方郭清を省略することは危険であると考えられた.また術前画像診断陽性例では側方郭清を行なったとしても予後不良であり,新たな治療戦略の構築が必要であると考えられた.
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