演題

O1-52-18-4

下部進行直腸癌に対する側方リンパ節郭清術の成績

[演者] 野上 仁:1
[著者] 瀧井 康公:1, 丸山 聡:1, 勝見 ちひろ:1, 八木 亮磨:1, 番場 竹生:1, 會澤 雅樹:1, 松木 淳:1, 野村 達也:1, 中川 悟:1
1:新潟県立がんセンター新潟病院 消化器外科

【はじめに】本邦における下部進行直腸癌に対する標準術式は直腸間膜全切除+側方リンパ節郭清術である.【目的】術前に遠隔転移を認めない下部進行直腸癌に対する側方リンパ節郭清術の治療効果を明らかにする.【側方リンパ節郭清術の適応】腫瘍下縁が腹膜反転部以下に存在する直腸癌のうち,固有筋層を超えて浸潤している,もしくは直腸間膜内にリンパ節転移を認めた症例.【対象】1999年から2014年までの16年間に当科で手術を受け,根治切除が得られた122例.【成績】男性92例,女性30例.年齢中央値は59歳(IQR 52-66).局在はRS 1例,Ra 18例,Rb 99例,P 4例.術前CEA中央値5.9ng/ml(IQR 2.5-12.6).CA19-9中央値9.7U/ml(IQR 4.2-19.7).術前治療を31例(25.4%)に施行した.pTis 2例(術前治療例),pT1b 1例,pT2 22例,pT3 79例,pT4a 4例,pT4b 14例.pN0 45例,pN1 30例,pN2 17例,pN3 30例.pM1a 2例(LYM).側方リンパ節転移は30例(24.6%)に認め,直腸間膜リンパ節転移は72例(59.8%)に認めた.直腸間膜に転移を認めた72例のうち26例(36.1%)に側方リンパ節転移を認めた.側方リンパ節のみに転移を認めた症例は4例(3.3%)であった.側方リンパ節転移のリスク因子として局在,術前CA19-9値,直腸間膜リンパ節転移が抽出された.手術時間(中央値)は360分(IQR 300-405).出血量(中央値)は300ml(IQR 151-519). Clavien-Dindo分類GradeII以上の合併症を76例(62.3%)に認め,縫合不全を14例(16.1%),腹腔内膿瘍を12例(9.8%),腸閉塞を13例(10.7%)に認めた.残尿・尿閉を20例(16.7%)に認め,5例(4.2%)で自己導尿を要した.自律神経全温存81例中7例(8.6%),部分温存46例中14例(30.4%),全切除3例中1例(33.3%)に残尿・尿閉を認めた.観察期間中央値は66.0月(IQR 39.1-87.6).5年無再発生存率(RFS)は66.8%,5年全生存率(OS)は79.3%,局所再発は11例(9.0%)に認めた.側方転移例の5年RFSは42.9%,5年OSは58.7%であった.多変量解析では静脈侵襲,側方リンパ節転移有無,リンパ節転移個数が予後不良因子として抽出された.【結論】下部進行直腸癌に対する側方リンパ節郭清術の成績は概ね良好であった.側方リンパ節転移を約25%に認め,側方リンパ節転移陽性例においても60%近い5年生存率が得られており,側方リンパ節郭清術は標準治療として妥当である.術前治療の有効性は明らかではないが,治療成績向上のためにさらなる治療開発が求められる.
詳細検索