演題

O1-52-18-3

下部進行直腸癌における側方リンパ節郭清の適応,短期・長期成績について

[演者] 石井 利昌:1
[著者] 山口 茂樹:1, 田代 浄:1, 近藤 宏佳:1, 原 聖佳:1, 清水 浩紀:1, 竹本 健一:1, 鈴木 麻未:1, 岡本 光順:1, 櫻本 信一:1
1:埼玉医科大学国際医療センター 消化器外科

【目的】下部進行直腸癌の当院における側方リンパ節郭清( Lateral pelvic lymph node dissection LLND )の適応,成績について検討した.
【対象】2007年4月の開院から2015年3月までに当院にて根治切除を施行した下部進行直腸癌( Rb )pStage II,IIIa,IIIb の245 例を対象とした.術前化学放射線療法を施行した症例は除外した.
【方法】LLND の有無におけるの短期・長期成績( 無再発生存率 )についてretrospective に比較検討した.統計は短期成績ではT検定・χ2乗検定,長期成績は Log-rank 検定にて施行した.p<0.05 にて有意差有と判断した.
【適応】2007年4月より下部進行直腸癌の全例に開腹手術にて両側の LLND( 283, 263P, 263D )を施行した.2012年1月より適応を変更し術前のMRI 検査にて側方リンパ節転移が疑われる症例にのみ腹腔鏡下に片側の LLND を施行とした.
【結果】全例において術後関連死は認めなかった.LLND は85 例に施行した( 男性 42例・女性 23例,開腹 60 例・腹腔鏡 25例,両側 38例・片側 47例,pStage II 27例・IIIa 21例・IIIb 37例 ).側方リンパ節転移陽性は 32.9 %( 28例 )に認めた.LLND の短期成績では手術時間:LLND+ 腹腔鏡・開腹 / 351.1・356.9,LLND- / 268.2・253.9 min,出血量:LLND+ 腹腔鏡・開腹 / 85.8・584.0,LLND- / 36.9・427.0 g,合併症:LLND+ 腹腔鏡・開腹 / 28.0・40.0,LLND- / 30.7・54.5 %,術後在院日数( 中央値 ):LLND+ 腹腔鏡・開腹 / 10.0・12.0,LLND- / 10.0・12.0 dayであり,LLND 施行による合併症の増加や在院日数の増加は認めなかった.LLND による特有の合併症としては 1 例にリンパ瘻を認めた.平均観察期間は 1381.2 day( 19 - 3268 day )であり,3年の無再発生存率は pStage IIIb において LLND+ 側方リンパ節転移陽性 / 46.4 %( n=28 ),転移陰性 / 48.5 %( n=9 ),LLND- / 40.3 %( n=35 )であり有意差を認めなかった.しかしながら LLND- 群において 2 例に側方リンパ節の再発を認めた.
【結論】当院における下部進行直腸癌の側方リンパ節郭清は短期成績においては合併症の増加や在院日数の延長は認めず安全に施行されていた.しかしながら長期成績においては側方リンパ節郭清なしの pStage IIIb 症例において側方リンパ節への転移を認めた.術前画像検査において側方リンパ節転移陽性疑い症例だけでなく,cStage IIIb 全例に側方リンパ節郭清を施行すべきと考えられた.
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