演題

O1-52-18-2

下部直腸癌に対する腹腔鏡下側方リンパ節郭清の治療成績

[演者] 山本 大輔:1
[著者] 伴登 宏行:1, 﨑村 祐介:1, 美並 輝也:1, 古谷 裕一郎:1, 鈴木 勇人:1, 辻 敏克:1, 北村 祥貴:1, 稲木 紀幸:1, 黒川 勝:1
1:石川県立中央病院 消化器外科

【背景】本邦における下部直腸癌に対する治療は術前加療や側方郭清の有無など施設間による治療方針のばらつきが認められる.JCOG0212の結果より,下部直腸癌の標準治療は直腸間膜切除+側方郭清であることが示された.当院では腫瘍下縁が腹膜反転部より肛門側のcT3の症例に対し,2010年より腹腔鏡下で直腸間膜切除および側方郭清を行ってきた.また,2014年から局所進行直腸癌に対し,オキサリプラチンを用いた術前化学療法を3か月行い,腫瘍縮小後に定型化された視野で安全に手術を行っている.
【方法】当院で2010年1月より2015年12月までに遠隔転移のない上下部直腸癌に対し腹腔鏡下側方リンパ節郭清を行った60症例の短期成績,長期成績を検討した.
側方郭清手技としては#273,#263,#283を郭清し,閉鎖動静脈は全例合併切除を行っている.
【結果】男性34名,女性26名,平均年齢60.3歳であった.腫瘍占拠部位はRa6例,Rb53例,P1例.9例に術前化学療法(FOLFOXもしくはCapeOX を3か月)を施行し,3例に術前化学放射線療法を行った.手術時間(中央値)は490分,出血量(中央値)は100mlであった.14例が片側,46例が両側の側方リンパ節郭清を行った.郭清リンパ節個数(中央値)は間膜リンパ節26個,側方リンパ節は11個であった.側方リンパ節転移は10例(16.1%)で認めた.術中合併症として,総腸骨静脈からの出血が2例あり,開腹移行となった.右尿管損傷1例,閉鎖神経切離を1例に認めた.Clavien-Dingo Grade2以上の術後合併症として,神経因性膀胱を14例に認め,そのうち8例(13.3%)に自己導尿が必要であった.縫合不全を10例(16.1%)に認め,そのうち2例は手術が必要であった.腹腔内膿瘍6例,水腎症1例,腎不全1例,ストマ脱出1例,閉鎖神経領域の神経痛を2例に認めた.
術後補助化学療法は30例(50%)に行われた.観察期間中央値が40.5か月で5年累積生存率は77.0%であった.再発を20例(33%)に認め,再発部位としては肝7例,局所5例,肺4例,遠隔リンパ節2例,骨1例,脳1例であったが,郭清した側方リンパ節の再発は認めなかった. 3年累積無再発生存率は66.3%であった.
【結論】当院における下部直腸癌に対する腹腔鏡下TME+側方郭清は安全に施行され,良好な治療成績であった.今後の課題として遠隔転移の制御が必要であり,現在はオキサリプラチン併用の術前,術後化学療法を行っており,症例を蓄積し,治療成績を評価していきたい.
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