演題

O1-51-18-6

下部直腸癌に対する治療戦略,術前放射線治療と側方リンパ節郭清

[演者] 的場 周一郎:1
[著者] 黒柳 洋弥:1, 森山 仁:1, 戸田 重夫:1, 花岡 裕:1, 富沢 賢治:1, 建 智博:1, 岡崎 直人:1, 平松 康輔:1, 藤井 能嗣:1
1:虎の門病院 消化器外科

近年の進歩著しい画像診断においても,術前に側方リンパ節転移を正確に診断することは困難である.一方JCOG0212試験によれば側方リンパ節径10mm以上を除外した症例群での転移陽性は7%にすぎず,全例に両側の側方郭清を付加することはover surgeryの感がある.当科では2010年4月以降,cT3以深またはcN1+の下部直腸癌に対して術前放射線治療(NART)を導入し,NART前画像診断にて長径7mm以上の側方リンパ節腫大に対して,腫大側の283および263郭清を施行し,7mm未満の症例には側方郭清を省略した.263郭清では,術前画像診断により内腸骨血管や骨盤神経叢合併切除を症例毎に判断し,郭清の温度差をつけた.手術は全例腹腔鏡下に行った.その成績を報告する.
対象および方法)2010年4月から2016年11月30日において,NARTを受けた根治度A症例193例を対象とした.NARTは45Gyの長期照射を基本とし,症例の状況により25Gyの短期照射を使用した.長期照射の場合に施行終了後側方リンパ節径が縮小しても郭清を行った.
結果)長期照射131例,短期照射62例であった.開腹移行は認めず,側方郭清は70例,両側郭清は11例であり,手術時間,出血量の中央値は,357分,68mlであった.病理学所見では,ypStage0 13例,Ⅰ56例,Ⅱ61例,Ⅲa30例,Ⅲb33例であった.側方リンパ節転移は18例9.3%であり,7mm以上と転移とした場合の陽性率は18例25.7%であった.術後合併症Clavien-Dindo GradeⅢ以上は,骨盤内膿瘍3例,術縫合不全1例,急性胆のう炎1例であった.術後観察期間中央値は891日とまだ短いが,再発は30例15.5%に認め,初発部位は肺11例,肝15例,遠隔リンパ節6例,局所4例であった(重複あり).全経過での局所再発は8例4.1%であり,吻合部再発1例,側方リンパ節再発は7例であり,仙骨前面などの骨盤中央の局所再発は認めなかった.側方再発7例中,同時または異時性に遠隔転移を6例に認め,2例には再度化学療法施行後,腹腔鏡下側方リンパ節切除を行い,1例はpCRであった.
結論)観察期間はまだ短く,長期成績に関しては今後の観察が必要であるが,短期成績は十分許容できると思われ,下部直腸癌治療戦略として十分に一つのオプションになりうると考えた.
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