演題

O1-51-18-4

術前放射線治療を施行した進行下部直腸癌に対する側方リンパ節郭清の意義

[演者] 大木 進司:1
[著者] 岡山 洋和:1, 藤田 正太郎:1, 坂本 渉:1, 遠藤 久仁:1, 齋藤 元伸:1, 門馬 智之:1, 円谷 彰:1, 丸橋 繁:2, 河野 浩二:1
1:福島県立医科大学 消化管外科, 2:福島県立医科大学 肝胆膵・移植外科

(背景と目的)
本邦における進行下部直腸癌に対する治療はTME+側方郭清が標準治療である.一方欧米においては術前放射線化学療法+TMEが標準治療である.近年,局所制御の目的で術前放射線化学療法(CRT)が報告されているが,CRT後の側方郭清の意義は明らかはない.
今回我々は術前放射線化学療法を施行した進行下部直腸癌における側方郭清の意義を明らかにするために臨床病理学的因子について検討した.
(対象と方法)
当科にて2011年までに術前放射線療法を施行し,TME+両側側方郭清を併施した進行下部直腸癌50例を対象とした.治療成績については有害事象,手術関連合併症,組織学的効果,再発率と再発形式,局所無再発生存率,全生存率等を検討した.
(結果)
平均年齢62.4歳,男女比は3:2であった.R0切除率は98%であった.術前治療の有害事象は12%で,手術関連合併症は縫合不全8%,SSI 12%,その他(直腸膣瘻2例,膀胱直腸瘻孔1例,吻合部狭窄1例)であった.側方リンパ節転移率は12% で局所再発率は6%,遠隔再発率は22%であった.側方リンパ節転移群の再発率は83%で,再発形式は肺,肝などの遠隔再発がほとんどで局所再発は認めなかった.原発巣においてGrade2以上の組織学的治療効果が得られたのは46%であったが側方リンパ節転移群のそれは12%であった.全症例の5年全生存率は83.2%,5年無再発生存率は81.1%,5年局所無再発生存率は82.9%であった.側方リンパ節転移の有無別での比較では5年全生存率(88.5% vs 50%),5年無再発生存率(81.8% vs 16.7%)と側方転移群で有意に予後不良であった.
(結語)
治療前に側方リンパ節転移陽性と診断した症例はCRTを施行しても局所制御は困難であり側方郭清は必須である.また側方転移例の予後は不良で遠隔再発の割合が高いことから,適正な術前術後の全身化学療法+側方郭清が必要であると考える.現時点で側方転移陰性例に対する術前治療の必要性や,術前治療後に側方郭清が省略できる根拠は乏しく診断モダリティの精度も含めて今後の検討が必要である.
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