演題

O1-50-18-4

下部直腸癌の側方リンパ節転移部位からみた側方リンパ節郭清

[演者] 高橋 慶一:1
[著者] 松本 寛:1, 中野 大輔:1, 中山 祐次郎:1, 河村 英恭:1, 高雄 美里:1, 大日向 玲紀:1, 矢島 和人:1, 岩崎 善毅:1, 山口 達郎:1
1:がん・感染症センター都立駒込病院 外科

【目的と方法】T3T4下部直腸癌に対して側方郭清は標準治療として日本では推奨されている.しかし腹腔鏡下側方郭清術が行われるようになり,郭清も片側郭清や閉鎖リンパ節および内腸骨動脈領域の郭清に限定する重点郭清が行われることも増えてきている.われわれは大動脈分岐部以下の両側側方郭清をこれまで行ってきた.側方リンパ節転移陽性例の転移部位から見た直腸癌の至適側方郭清範囲について,臨床病理学的に検討した.【結果と考察】T3T4下部直腸癌の側方郭清例418例中の側方転移例は75例(17.9%)であった.側方リンパ節転移陽性例における平均郭清リンパ節総個数は30.6個,平均転移陽性リンパ節個数は4.0個,平均側方リンパ節郭清個数は12.8個,平均側方転移個数は3.2個であった.転移部位別頻度は,No283:9.3%(39例/418例),No263D:5.0%(21/418),No263P:6.5%(27/418)で多かったが,No283,263以外あり:3.8%(16/418)で,閉鎖リンパ節転移や内腸骨リンパ節転移以外の症例も側方転移例の21.3%を占め,これらの部位の郭清だけでは不十分であった.片側転移:13.2%(55/418),両側転移:4.8%(20/418)で片側転移が多いが,両側転移も決してまれではなく,片側転移だけでは不十分であった.1部位のみの転移:61.3%,2部位以上の転移:38.7%例で,片側のNo283および263の重点郭清では不十分であった.治癒切除の行われた側方転移症例は40例で,側方リンパ節転移の個数別の5年生存率を比較すると,3個以下で41.9%,4個以上で14.3%で,有意に(p<0.01)側方転移リンパ節3個以下は予後良好で,郭清効果を認めた.またNo283,263のみ転移:40.5%,No283,263以外あり:0%,片側転移:42.4%,両側転移:19.4%で有意差はなかったが,No283,263以外に転移のある症例,両側側方転移症例では予後不良の傾向を認めた.側方リンパ節転移個数が4個以上,No283,No263以外の側方リンパ節転移を有する症例,両側側方リンパ節転移陽性例は予後不良の傾向を認めるが,これらの部位を郭清しなければ,転移の状況を把握できず,転移率は決して低値ではないことから,大動脈分岐部以下の両側側方郭清を原則的に行うべきであると考える.
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