演題

O3-160-15-4

エビデンスに基づく大腸癌肝転移に対する治療戦略

[演者] 長谷川 潔:1
[著者] 河口 義邦:1, 松村 優:1, 森 一洋:1, 小林 光助:1, 赤松 延久:1, 金子 順一:1, 有田 淳一:1, 阪本 良弘:1, 國土 典宏:1
1:東京大学大学院 肝胆膵外科学

【背景】大腸癌肝転移は血行性遠隔転移の一形態でありながら,外科切除によって治癒する可能性がある.昨今の化学療法の進歩は切除適応を拡大し,切除後の再発率を下げ,長期成績を向上させると期待されているが,日本の実臨床に即したエビデンスは不足しているのが現状である.
【臨床試験1】治癒的切除後の経口UFT/LV(uracil-tegafur+leucovorin)補助化学療法の有効性を検証するRCTを実施し,有意にrelapse-free survivalを延長することが示したが,全生存や再発に対する治療効果の影響を詳細に評価するため,観察期間を2年延ばした追加解析を行った.解析対象177例,観察期間中央値6年で,5年生存率はUFT/LV群65.3%,手術単独群62.2%,ハザード比0.86 (P=0.54)だった.登録後4年まで両群の生存曲線はほぼ一致していたのが,それ以降UFT/LV群が若干上回る傾向がみられた.さらにバイオマーカーに関する付随研究を併施し,補助療法の効果予測が可能かを探索的に調査中である.
【臨床試験2】KRAS野生型かつ切除不能もしくは困難症例に対し,抗EGFR抗体を用いたconversion療法の有用性を検討する第II相試験を実施した.解析対象の48例において,術前化療の効果はCR0%,PR63.3%だったが,R0/R1切除は26例/5例(R0率54.2%),手術に至れなかったのは2例,手術関連死はゼロだった.中央値1.5年の観察期間で1年無増悪生存率,2年生存率はそれぞれ51.7%,71.5%だった.
【臨床試験3】本抄録投稿時点で,切除可能症例に対する周術期化学療法の有用性を検証する臨床試験につき,付随研究を計画中である.
【結論】大腸癌肝転移に対し,切除可能であれば術後補助化学療法が有効であり,切除不能でも分子標的薬を用いたconversion戦略が期待できる.個々のclinical questionに応じて適切な臨床試験を組み,「実臨床に使えるエビデンス」を出すことが必要である.
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