演題

O3-160-15-1

大腸癌肝転移例に対する切除時期と抗癌剤分子標的薬の併用の意義

[演者] 吉留 博之:1
[著者] 大塚 将之:2, 吉富 秀幸:2, 古川 勝規:2, 新村 兼康:1, 芝崎 秀儒:1, 沖 彰:1, 中村 純一:1, 加藤 敬二:1
1:さいたま赤十字病院 外科, 2:千葉大学大学院 臓器制御外科学

【目的】新規抗癌剤・分子標的薬の進歩により切除不能例では肝切除が可能となり,長期生存する例も認められる.一方で肝切除可能と不能での治療戦略を明確にし,切除後再発リスクの高い症例に対する治療戦略を明確にし予後の向上を検討する必要がある.【方法】Conversion chemotherapyを開始した2004年からの症例と同時期以降の肝転移切除例を2施設の症例288例を対象とした.切除不能は腫瘍の解剖学的理由と両葉多発など腫瘍占拠範囲のために残肝量の機能的不足と制御困難な肝外転移併存と施行した.また肝外転移例の中で肺切除併施48例も合わせて検討した.【結果と考察】多変量解析にて同時性転移・原発巣のリンパ節転移陽性・肝外転移併存・腫瘍個数両葉5個以上・R2切除が予後不良因子であり,特に原発巣と肝・肺転移を同時に切除した場合には有意に予後不良であった.60%がconversion可能となり,65%にconversion surgeryを施行しえた.原発切除後半年以内再発の異時転移例の切除の予後は他の異時転移例に比較して予後不良の傾向であったconversion surgeryの結果からは,解剖学的理由から切除不能例はRAS wildであれば早期腫瘍縮小を期待したレジメ施行例で切除率・生存率が高かった.残肝機能不足の両葉多発例ではFOLFOX + Bmabなどにより腫瘍学的奏功を認めた症例における切除例で長期生存が認められた.同時性転移例でリンパ節転移pN2以上かつ腫瘍個数5個以上に対してはprospectiveにFOLFOX + Bmabによる術前化学療法を開始した症例では,3年無再発生存は70%である.特に肺転移併存例では有効な治療戦略であった.肺切除例では肺転移は最大4回まで切除を施行し切除後5生率は62%・生存中央値78ヶ月で,多変量解析で同時性肺転移と術前CEA値が抽出された.【結語】切除不能大腸癌肝転移例では切除不能理由を考慮したレジメが必要であり,5個以上の切除可能例でかつpN2以上例では微小肝転移を考慮したレジメンが必要であることが示唆され,このような治療戦略が大腸癌肝転移に対しては有効な治療戦略であることが考えられた.
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