演題

O3-159-15-3

大腸癌肝転移における切除可能な肝内再発に対する治療方針の検討

[演者] 佐藤 太祐:1
[著者] 塩崎 滋弘:1, 住谷 大輔:1, 丁田 泰宏:1, 中野 敢友:1, 原野 雅生:1, 松川 啓義:1, 小島 康知:1, 岡島 正純:1, 井谷 史嗣:1
1:広島市立広島市民病院 外科

【背景】大腸癌肝転移に対しては肝切除が有効かつ唯一の根治法であるため,初回の同時性もしくは異時性肝転移に対しては積極的に肝切除が行われているが,初回肝切除後の再度の肝転移に対しては切除の適応や術前化学療法を行うべきか否かなど,その治療方針はいまだ明らかにされていない.今回,大腸癌肝転移の初回切除後の肝内再発に対する再肝切除と肝内再発に対する術前化学療法の是非について検討した.【対象・方法】期間は2001.1~2014.12.大腸癌肝転移(同時性,異時性を含む)のうち下記条件を満たす27例を対象とした.①初回手術で原発巣,肝転移巣のいずれも遺残なく切除した症例.②2回目の再発が肝内に限局した症例.③肝内再発病巣が切除可能な状態であった症例.切除可能な肝内再発症例の予後規定因子を検索するとともに,再肝切除症例について術前化学療法の有無によって予後を比較検討した.【結果】切除可能な肝内再発27例中,再肝切除を21例に施行した.再肝切除症例と非施行症例について,初回手術前と再肝再発時のそれぞれのCEA値,肝転移個数・最大腫瘍径などの背景因子では差を認めなかったが,再肝切除症例は非施行症例よりも有意に予後は良好であった.多変量解析にて,初回手術前の腫瘍個数>3個,再肝切除前CEA値>5ng/ml,再肝切除なし,の3因子が切除可能な肝内再発症例の有意な予後不良因子であった.また,再肝切除症例において,初回肝切除からの再発時期が1年以内の症例は1年以降の症例よりも無再発生存率(DFS)が不良の傾向を認めたが,生存率(OS)では差を認めなかった.再肝切除症例のうち術前化学療法を施行しなかった15例(S群)と施行した6例(N群)との比較では初回切除時と再肝切除時の患者因子,腫瘍因子では差を認めなかったが,術後の合併症率がN群において高い傾向を示した(13% vs 50%,P=0.074).初回肝切除後再発の確認日からのDFS,OSでは両群に差を認めなかった.さらに再肝切除後の補助化学療法の有無によってもOSには差を認めなかった.【結語】大腸癌肝転移の初回肝切除後に生じた肝内再発に対しては再肝切除が有効であり,術前化学療法の有用性は現時点では明らかなではなく,かえって切除時期を逸してしまう危険性があるため,切除が可能な場合には積極的な肝切除を行うことが望ましいと考えられた.
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