演題

O3-159-15-2

当科における大腸癌肝転移に対する拡大切除の長期予後を含めた意義に関する検討

[演者] 高橋 秀和:1
[著者] 新毛 豪:1, 原口 直紹:1, 西村 潤一:1, 畑 泰司:1, 山本 浩文:1, 江口 英利:1, 水島 恒和:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

[目的] 大腸癌に対する肝切除は,コホート研究やランダム化比較試験から導き出された結論ではないが,症例によっては,全身化学療法,肝動注療法や熱凝固療法などの他の治療法では得られない良好な成績が報告され,その5年生存率は35%から58%とされる.肝切除において,病巣の数,大きさ,部位ならびに予測残肝容量を総合的に評価して完全切除が可能かどうかを判断することになるが,この中で外科的手技により解釈が変わり得るものは病巣の部位である.すなわち,横隔膜や下大静脈などの隣接臓器への直接浸潤がある病巣に対して切除不能とするか,可能とするかに関する明確なエビデンスはない.一方で,分子標的治療薬や新規抗腫瘍薬の登場によりこれら境界に位置する症例に対する治療戦略にも幅を持たせるといった恩恵がもたらされたが,一方で全身療法に不応の症例は切除のタイミングを逃すということもありうる.そこで今回,後方視的に,当科における大腸癌肝転移に対する他臓器合併切除を伴う肝切除の成績並びに長期予後を,合併切除を伴わない肝切除と比較することによりその意義に関する検討を行う. [対象] 当科において2000年から2015年までに肝切除を施行した178例を対象とし,他臓器合併切除群 (20例) と非他臓器合併切除群 (158例) に分けて検討した. [結果] 他臓器合併切除群は,手術時間 (414 vs. 308分),出血量 (2025 vs. 642 mL) が有意に多かったが,合併症の発生率に差を認めなかった (15.2 vs. 10.0%).手術死亡例を認めなかった.合併切除された臓器は横隔膜 (10例),下大静脈 (5例),胆管 (3例)であった.5年生存率は他臓器合併切除群で低い傾向にあった (5-year survival rates; 45% vs. 67.9%)が有意差を認めなかった. [結語] 少数例の報告ではあるが大腸癌肝転移に対する他臓器合併切除は安全に施行可能であった.他臓器合併切除群と非他臓器合併切除群において長期予後に有意差を認めなかった.本発表においては,他の遠隔転移臓器 (肺,傍大動脈) に関しても長期予後を示し,本結果の妥当性につきさらなる検討を加える.
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