演題

O3-159-15-1

大腸癌肝転移に対する肝切除術の意義

[演者] 三宅 修輔:1
[著者] 野村 明成:1, 田中 智和:1, 古賀 靖大:1, 能城 浩和:1
1:佐賀大学附属病院 一般・消化器外科

【背景・目的】大腸癌肝転移に対する治療方針は肝切除可否に関する適応基準を設け,可能なものは外科切除を第一に選択することが妥当とされている.われわれの大腸癌肝転移に対する治療戦略としてH1は原則として術前治療を行わず切除(一期的もしくは二期的)を考慮し,H2 / 3及び主要血管に近接・浸潤が疑われる症例に対してはconversion手術を期待して化学療法を施行する方針としている.当科での大腸癌肝転移切除例および非切除例を検討し大腸癌肝転移に対する肝切除術の意義について考察した.
【対象】2005年1月から2015年12月までの期間に原発巣切除を行った大腸癌肝転移症例96例(肝外転移を含まない)を対象とした.原発巣切除後6ヶ月以内に肝転移再発を認めた症例も同時性肝転移に含め検討した.
【結果】同時性/異時性肝転移69 / 27例であり,5年生存率は31.8 / 56.9%であった.同時性肝転移での切除/非切除は33 / 36例で,うち2例は化学療法によりconversion手術を施行し得た症例であった.5年生存率は55.9 / 7.9%で(p < 0.0001)であった.異時性肝転移での切除/非切除は15 / 12例で,5年生存率が92.9 / 14.3 % (p = 0.002)であった.原発巣切除後6ヶ月以内に肝転移再発した症例では,切除/非切除は4 / 12例と切除率が低く,5年生存率は25.6%と予後も不良であった.同時性異時性を問わず肝転移症例に対して肝切除例が非切除例と比較して有意に予後が良好であった.
【考察】大腸癌肝転移に対して,肝切除術の積極的導入と新規化学療法薬の使用により予後が劇的に改善したという既知の報告を支持する結果であった.切除可能な大腸癌肝転移に対する術前化学療法の意義に関しては議論の余地があるが,大腸癌肝転移を切除しえなかった症例では明らかに予後が不良であったことから,肝切除困難・不能例に対し積極的に集学的治療を施行し,R0肝切除を目指すことにより予後改善の可能性があると考えられた.
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