演題

O3-158-15-6

大腸癌肝転移に対する術前化学療法施行後の肝切除例の検討

[演者] 澤田 雄:1
[著者] 熊本 宜文:1, 平谷 清吾:1, 藪下 泰宏:1, 南 裕太:1, 森 隆太郎:1, 松山 隆生:1, 田中 邦哉:2, 遠藤 格:1
1:横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学, 2:帝京大学ちば総合医療センター 外科

【目的】大腸癌肝転移に対する術前化学療法(化療)施行後の肝切除術の意義を明らかにすることを目的に,当科における大腸癌肝転移切除症例を検討した.
【対象と方法】2001年から2015年に初回肝切除を施行した大腸癌肝転移症例403例の内,術前化療施行後に肝切除を施行した187例の治療成績および予後因子を後ろ向きに解析した.当科の治療方針として,異時性・同時性は問わず,原則的に術前化療は,肝外転移併存例,主要脈管への浸潤症例,両葉転移4個以上の多発症例に施行した.
【結果】肝切除前の化学療法のレジメンは,FOLFOX系が54例(29%)と最多で,以下FU/FOL42例(22%),肝動注38例(20%),FOLFIRI系19例(10%),FOLFOXIRI系(18例)10%,その他16例(9%)で,分子標的薬の使用割合は34%であった.術前化療の施行回数中央値は6コース(2-44)であった.8コース以上長期に化療を施行した70症例のClavien-Dindo 分類gradeⅢ以上の合併症発生率は20.0%で,8コース未満の117症例の合併症発生率9.4%に比較し有意に高い結果であった(p=0.039).187例の5年推定生存率は35.9%で,全生存期間中央値は,43.3カ月,無再発生存期間中央値は,7.1カ月であった.全生存期間に関する多変量解析による予後因子は,転移数4個以上(p=0.005, Exp(B)=2.55),最大腫瘍径3cm以上(p=0.045, Exp(B)=1.68),肝外転移併存(p=0.021, Exp(B)=1.78)であった.肝外転移併存症例50例(肺転移併存26例,リンパ節9例,腹膜播種6例,肝外転移併存2臓器以上5例)の3年推定生存率は35.9%,5年推定生存率は19.2%であった.肝外転移併存例の予後因子に関して,多変量解析では有意な独立予後因子は明らかにされなかったが,肝外転移病変に対する切除未施行の27例では5年生存例は認めなかった結果に対し,肝切除とともに肝外転移病変の切除を受けた23例の5年推定生存率は27.3%であった.
【結語】大腸癌肝転移に対する術前化療は有用と考えられるが,長期化療例では術後合併症に注意が必要である.肝外転移併存例に肝切除は十分考慮されうるが,手術適応基準を決するには更なる症例の蓄積が必要と考えられた.
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