演題

O3-158-15-5

大腸癌同時性肝限局転移に対する化学療法後肝切除 ~治療成績と予後因子~

[演者] 大内 晶:1
[著者] 清水 泰博:1, 千田 嘉毅:1, 夏目 誠治:1, 伊藤 誠二:1, 小森 康司:1, 安部 哲也:1, 三澤 一成:1, 伊藤 友一:1, 木下 敬史:1
1:愛知県がんセンター中央病院 消化器外科

背景:大腸癌肝限局転移,特に同時性症例の治療戦略に統一した見解はない.当科では,①まず原発巣切除を先行し,②根治的肝切除が可能で,原発巣の悪性度が低い症例には前治療を入れずに3ヵ月のwaiting timeを置いて待機肝切除を行っている.③また,肝転移が根治切除不能,または原発巣が進行した症例にはまず化学療法を導入し,経過をみてから治療方針を検討している.
目的:当科での大腸癌同時性肝限局転移に対する化学療法後肝切除の治療成績と予後因子を検討する.
対象:2006年4月から2016年3月までに当科で原発巣切除を施行した大腸癌同時性肝限局転移は157例で,うち35例(S群)で待機肝切除を施行し,109例で化学療法を導入した.化学療法後に25例(CS群)で肝切除を施行し,84例(C群)は手術適応とならず化学療法を継続した.CS群で化学療法を導入した理由は残肝容積不足,肝門浸潤または3肝静脈浸潤が16例,原発巣進行または他遠隔転移併存の疑いが9例であった.
結果:S群と比べてCS群,C群では原発巣の漿膜浸潤率が高く(25%/44%/38%),リンパ節転移数も多かった(2.7個/4.2個/4.3個).また肝転移の最大腫瘍径が大きく(4.1 cm/6.2 cm/4.9 cm),転移数も多かった(2.7個/6.0個/8.9個).S群とCS群で原発巣切除後の全生存率(OS)に差はなく(3年 93.4%/86.9%,Log-rank P = 0.34),いずれもC群(3年 40.2%)より有意に良好であった.S群ではCS群より肝切除後の残肝無再発生存率が良好な傾向があったが(3年 62.7%/45.0%,Log-rank P = 0.14),S群とCS群で肝切除後の無再発生存率(DFS)に差はなかった(3年 21.6%/33.3%,Log-rank P = 0.97).CS群におけるDFSのリスク因子を検討したところ,単変量解析で漿膜浸潤(HR 0.48,95%CI 0.17 - 1.32),原発巣N2(HR 0.59,95%CI 0.21 - 1.59),肝転移数(HR 0.50,95%CI 0.16 - 1.58)といった既知の因子よりも,化学療法による肝転移巣の早期腫瘍縮小(ETS)の有無が予後により強い影響を与えていた(HR 0.31,95%CI 0.08 - 1.15).
結語:CS群ではS群より予後不良因子が多かったが,OSおよびDFSはS群と同等であった.また,化学療法を導入した症例の中から選択されたCS群において,その中でも肝転移巣に早期により良い反応を示した患者の治療成績がより良好な傾向にあった.化学療法を先行させる症例の選択,手術適応やその時期についての議論は残るが,化学療法に対する反応性は手術適応を決定する際の一助となり得る.
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